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主に湿性咳嗽をきたす疾患はどれか。
a 咳喘息
b 間質性肺炎
c 感染後咳嗽
d 胃食道逆流症
e 副鼻腔気管支症候群

第118回医師国家試験

正解:e

解説

湿性咳嗽は、気道の炎症や分泌物の増加によって引き起こされる咳嗽です。主な原因疾患を考察していきます。
a. 咳喘息:気道の慢性炎症性疾患であり、乾性咳嗽を呈することが多いです。湿性咳嗽をきたすことは少ないです。
b. 間質性肺炎:肺の間質に炎症や線維化が生じる疾患群です。主な症状は乾性咳嗽と呼吸困難であり、湿性咳嗽は典型的ではありません。
c. 感染後咳嗽:ウイルス性上気道炎などの感染症に続発する咳嗽です。感染初期には湿性咳嗽を呈することがありますが、主に乾性咳嗽が持続します。
d. 胃食道逆流症:胃酸の逆流によって引き起こされる咳嗽です。酸の刺激によって乾性咳嗽を呈することが多いです。
e. 副鼻腔気管支症候群:慢性副鼻腔炎に伴って気管支の炎症をきたす病態です。鼻汁や副鼻腔の分泌物が気管支に流入することで、湿性咳嗽を引き起こします。
以上より、主に湿性咳嗽をきたす疾患は、副鼻腔気管支症候群(選択肢e)です。

考察

咳嗽は、呼吸器疾患の主要な症状の一つであり、その性状は原因疾患の鑑別に役立ちます。湿性咳嗽は、気道の炎症や分泌物の増加を示唆する重要な所見です。
湿性咳嗽をきたす他の代表的な疾患としては、急性気管支炎や肺炎などの感染症、気管支拡張症、肺がんなどがあります。これらの疾患では、気道の炎症や分泌物の増加によって、湿性の咳嗽が生じます。
一方、乾性咳嗽は、気道の刺激や炎症によって引き起こされます。代表的な疾患としては、咳喘息、胃食道逆流症、ACE阻害薬による咳嗽などがあります。これらの疾患では、気道の過敏性亢進や刺激物質の暴露によって、乾性の咳嗽が生じます。
咳嗽の性状は、病歴聴取において重要な情報となります。湿性咳嗽であれば、気道の感染症や副鼻腔気管支症候群などを疑い、乾性咳嗽であれば、咳喘息や胃食道逆流症などを疑います。
また、咳嗽の性状だけでなく、持続期間や随伴症状なども重要な情報となります。急性の咳嗽であれば感染症を、慢性の咳嗽であれば慢性呼吸器疾患や全身性疾患を疑います。随伴症状としては、発熱、喀痰、呼吸困難、胸痛などに注目します。
咳嗽は、呼吸器疾患の重要な手がかりとなる症状です。咳嗽の性状や経過、随伴症状などを総合的に評価し、適切な診断と治療につなげることが重要です。医療者は、咳嗽の鑑別診断に関する知識を深め、患者の症状に耳を傾ける姿勢を持つことが求められます。

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