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電気ショックが直ちに必要な心電図所見はどれか。
a. 心静止
b. 心房細動
c. 無脈性心室頻拍
d. 完全房室ブロック
e. 無脈性電気活動〈PEA〉

第118回医師国家試験

正解:c

解説

電気ショックが直ちに必要な心電図所見は、無脈性心室頻拍(VT)である。無脈性VTは、心室の電気的活動は維持されているが、有効な心拍出がない状態である。早期の除細動が救命のカギとなる。
a. 心静止:心静止では電気的活動が消失しているため、電気ショックの適応はない。
b. 心房細動:心房細動は不整脈の一種であるが、致死的な不整脈ではない。電気ショックの適応はない。
c. 無脈性心室頻拍:無脈性VTは、致死的な不整脈の一つである。早期の除細動が救命のカギとなる。
d. 完全房室ブロック:完全房室ブロックは、房室伝導が完全に途絶した状態である。不可逆的な完全房室ブロックでは永久ペースメーカー植え込み術が必要だが、緊急の電気ショックの適応はない。
e. 無脈性電気活動(PEA):PEAは、心電図上は電気的活動があるが、触知可能な脈がない状態である。PEAでは、原因検索と治療が優先され、電気ショックの適応はない。
以上より、電気ショックが直ちに必要な心電図所見は、無脈性心室頻拍(VT)である。

考察

心肺停止の初期対応では、心電図所見に基づいて適切な治療方針を選択することが重要である。ガイドラインでは、心肺停止の心電図所見を「ショック適応リズム」と「非ショック適応リズム」に分類している。
ショック適応リズムは、心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(VT)である。これらの致死的不整脈では、早期の除細動が救命のカギとなる。目撃のあるVF/無脈性VTに対する早期除細動は、生存率を大幅に改善する。
非ショック適応リズムは、心静止とPEAである。これらの心電図所見では、電気ショックよりも、高品質な胸骨圧迫と原因検索・治療が優先される。PEAの原因としては、低酸素症、低血量、代謝異常、肺塞栓症、緊張性気胸などが挙げられる。
心肺停止の現場では、医療者は心電図所見を迅速かつ正確に判読し、適切な治療方針を選択する必要がある。AEDの普及により、非医療者による早期除細動も可能となっているが、医療者には、より高度な判断と対応が求められる。
心肺停止の予後改善には、バイスタンダーCPRの普及と質の向上、AEDの戦略的配置、救急医療体制の強化など、社会全体の取り組みが不可欠である。また、市民に対する啓発活動や、救急隊員・医療者に対する教育訓練も重要である。
心肺蘇生法は、医学の進歩とともに絶えず進化している。最新のガイドラインを学び、適切な知識と技術を身につけることが、救命の現場に立つ者の責務である。同時に、心肺停止の予防と早期対応のために、社会の理解と協力を得ていくことも重要である。一人でも多くの尊い命を救うために、我々は常に努力を重ねていく必要がある。

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