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座位の患者からの鼻咽頭ぬぐい液の採取手順で誤っているのはどれか。
a 個人防護具を着用する。
b 患者の側方に立つ。
c 患者の頭部が動かないよう支える。
d 綿棒を患者の鼻孔から上方に向けて挿入する。
e 咽頭後壁からぬぐい液を採取する。

第118回医師国家試験

正解:d

解説

鼻咽頭ぬぐい液の採取は、上気道感染症の診断などに用いられる重要な手技です。正しい手順を理解し、感染対策にも配慮することが求められます。
a. 個人防護具(PPE)の着用は、標準予防策の基本であり、必ず実施する必要があります。
b. 患者の側方に立つことで、採取時の患者の不快感を軽減し、手技がしやすくなります。
c. 患者の頭部を支えることで、採取時の患者の動きを最小限に抑え、手技の正確性を高めることができます。
d. 綿棒は鼻腔の底に沿って水平に挿入し、鼻咽頭に到達させます。上方に向けて挿入すると、鼻腔上部の構造物を損傷する可能性があります。
e. 鼻咽頭ぬぐい液は、咽頭後壁から採取します。この部位には、ウイルスが増殖しやすい上気道の粘膜があります。
以上より、綿棒を患者の鼻孔から上方に向けて挿入する(選択肢d)のみが誤りであり、他の選択肢は全て正しい手順です。

考察

鼻咽頭ぬぐい液の採取は、感染症診断において重要な手技ですが、正しい手順を遵守しないと、検査の感度が低下したり、患者に苦痛を与えたりする可能性があります。
特に、綿棒の挿入方向に注意が必要です。鼻腔は上方に向かって狭くなっており、上方に向けて綿棒を挿入すると、鼻甲介や鼻中隔を損傷するリスクがあります。また、鼻咽頭に到達できず、適切な検体が採取できない可能性もあります。
したがって、綿棒は鼻腔の底に沿って水平に挿入し、抵抗を感じたら少し引き抜いてから、再度挿入するようにします。この手技により、鼻咽頭に到達し、適切な検体を採取することができます。
また、感染対策も重要な視点です。鼻咽頭ぬぐい液の採取では、患者の体液に曝露するリスクがあるため、手袋、マスク、ゴーグルなどのPPEを適切に使用する必要があります。
医療者は、正しい手技と感染対策を理解し、実践することが求められます。適切な検体採取は、正確な診断につながり、患者の予後改善に寄与すると考えられます。

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