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84歳の男性。発熱を主訴に来院した。10日前から右側胸部の痛みを自覚していた。3日前から発熱が出現したため受診した。1年前、脳梗塞により左不全片麻痺があり、時々食事でむせることがある。意識は清明。身長162cm、体重46kg。体温37.6℃。脈拍104/分、整。血圧110/66mmHg。呼吸数24/分。SpO295%(room air)。残存歯は数本でう歯があり口腔内は乾燥している。心音に異常を認めない。呼吸音は右下肺野にcoarsecracklesを聴取する。血液所見:赤血球436万、Hb13.9g/dL、Ht42%、白血球12,600(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板18万。CRP12mg/dL。胸部エックス線写真で右下肺野に浸潤影を認める。入院し多職種で連携してこの患者の肺炎治療サポートを行うことになった。
現時点でかかわらないのはどれか。
a. 管理栄養士
b. 言語聴覚士
c. 歯科衛生士
d. 理学療法士
e. 臨床工学技士

第118回医師国家試験

正解:e

解説

この症例は84歳男性の誤嚥性肺炎の患者である。多職種連携でサポートする際に関わる職種は以下の通りである。
a. 管理栄養士:適切な栄養管理を行い、誤嚥のリスクを減らすために食事形態の調整などを行う。
b. 言語聴覚士:嚥下機能の評価と訓練を行い、安全な経口摂取を目指す。
c. 歯科衛生士:口腔内の清掃とう歯の管理を行い、誤嚥性肺炎の予防に貢献する。
d. 理学療法士:廃用症候群の予防と日常生活動作の改善を目的としたリハビリテーションを行う。
e. 臨床工学技士:人工呼吸器の管理などを行うが、この症例では人工呼吸管理の必要性は低く、関わりは少ない。
したがって、現時点で関わらない職種は臨床工学技士である。

考察

高齢者の誤嚥性肺炎の治療では、抗菌薬治療だけでなく、誤嚥のリスク因子の管理が重要である。この症例では、脳梗塞後の嚥下障害、う歯、口腔内乾燥などの誤嚥リスク因子があり、これらに対する多職種での介入が必要である。管理栄養士、言語聴覚士、歯科衛生士、理学療法士など、それぞれの専門性を活かした介入により、誤嚥性肺炎の再発予防と患者のQOL向上を目指すことが大切である。高齢者医療においては、このような多職種連携が不可欠である。

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