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重症複合免疫不全症で正しいのはどれか。
a 全身のリンパ節が腫大する。
b ウイルスヘの免疫は保たれる。
c 顕性遺伝(優性遺伝)の形式をとる。
d 血清免疫グロブリンは正常範囲である。
e 生後間もなくから体重増加は不良となる。

第118回医師国家試験

正解: e

解説

重症複合免疫不全症(SCID)は、T細胞とB細胞の機能が高度に障害された先天性免疫不全症である。遺伝形式は常染色体劣性遺伝が大部分を占める。
a. 全身のリンパ組織は低形成となり、リンパ節腫大は認めない。
b. 細胞性免疫と液性免疫の両方が障害されるため、ウイルス感染に対する免疫は保たれない。
c. 常染色体劣性遺伝の形式をとることが多い。
d. 血清免疫グロブリンは低値を示す。
e. 生後数週から体重増加不良、慢性下痢、口腔内カンジダ症などの症状が出現する。
したがって、重症複合免疫不全症で正しいのは「生後間もなくから体重増加は不良となる」である。

考察

重症複合免疫不全症は、複数の遺伝子異常によって生じる疾患群である。発症早期から重症の日和見感染を繰り返し、予後不良の経過をたどる。早期診断と造血幹細胞移植による早期治療が予後改善のために重要である。
新生児マススクリーニングでのSCID スクリーニングの導入により、早期発見・早期治療の体制が整いつつある。原因遺伝子の解明も進んでおり、遺伝子治療の可能性も探られている。
免疫不全症の病態解明と治療法の開発は、免疫学の重要なトピックの一つである。原発性免疫不全症の研究から、免疫システムの働きの理解が深まり、さらには自己免疫疾患など他の免疫関連疾患の病態解明にもつながることが期待される。

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