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2群間の血圧の平均を比較するときに用いる統計解析手法はどれか。
a. t検定
b. x2検定
c. 生存分析
d. 比例ハザードモデル
e. ロジスティック回帰

第118回医師国家試験

正解:a

解説

2群間の平均値を比較する際に用いる統計解析手法は、t検定である。t検定は、2つの群の平均値に統計学的な差があるかどうかを評価する手法である。血圧のように連続変数で表される指標の平均値を比較する際に、t検定が用いられる。
b. x2検定(カイ二乗検定):カテゴリー変数(質的変数)の頻度や割合を比較する際に用いる手法である。
c. 生存分析:イベント(死亡、再発など)が発生するまでの時間を解析する手法である。
d. 比例ハザードモデル:生存分析の一種で、複数の因子がイベント発生までの時間に与える影響を評価する手法である。
e. ロジスティック回帰:2値の結果(例えば、死亡vs生存)に対して、複数の因子の影響を評価する手法である。
以上より、2群間の血圧の平均を比較するときに用いる統計解析手法は、t検定である。

考察

臨床研究や疫学研究では、適切な統計解析手法の選択が重要である。統計解析手法の選択を誤ると、結果の解釈を誤ったり、誤った結論を導いたりする恐れがある。統計解析手法の選択には、データの性質(連続変数か質的変数か、正規分布に従うかなど)と、研究の目的(群間比較、因果関係の評価、予後予測など)を考慮する必要がある。
t検定は、最も基本的な統計解析手法の一つである。t検定には、対応のあるt検定と対応のないt検定の2種類がある。対応のあるt検定は、同一個体における前後の比較や、matched pairsの比較に用いる。一方、対応のないt検定は、独立した2群の比較に用いる。
t検定を用いる際には、以下の前提条件を満たす必要がある。

  1. 両群のデータが正規分布に従うこと(正規性の仮定)

  2. 両群の分散が等しいこと(等分散性の仮定)

  3. 両群が独立していること(独立性の仮定)
    これらの前提条件が満たされない場合は、ノンパラメトリック検定(Mann-Whitney U検定、Wilcoxon検定など)を用いる必要がある。
    統計解析では、単に p 値を計算するだけでなく、効果量(effect size)とその信頼区間も報告することが推奨される。効果量は、群間差の大きさを表す指標であり、臨床的な意義を評価する上で重要である。また、信頼区間は、推定値の精度を表す指標であり、結果の解釈に不可欠である。
    統計解析の結果は、常に慎重に解釈する必要がある。統計学的な有意差が認められても、臨床的な意義があるとは限らない。逆に、統計学的な有意差が認められなくても、臨床的に重要な差がある可能性もある。統計解析の結果を臨床的な文脈で解釈し、患者の診療に活かすことが重要である。
    医療者は、統計解析の基本的な概念と手法を理解し、適切に活用する能力が求められる。同時に、統計解析の限界も認識しておく必要がある。統計解析は、あくまでもデータから情報を引き出すための道具である。臨床的な洞察力と総合的な判断力を持って、患者の診療に当たることが何より重要である。

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