【パズルゲーム研究①】タイルが資源とお題を兼ねるゲーム【ノヴァルナ/フレームワーク】
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先日、「パタパタ紙ペン」をnoteの方でも公開いたしました。
(ぜひプレイしてみて下さい)
前書き(動機。飛ばしていいよ)
前作は作品自体は気に入ってはいるのですが特殊すぎてセオリー通りに作れなかった部分があります。
なので次回作では「良い意味で普通≒制作中の改善における自由度が高い。参考になる作品が多い」に作っていこうと思っております
そのために基本的には(できる限り同じ作家の)類似作品を比較して「その作品群が持つ大枠」の部分をなぜそうなっているのか?を考えながらまとめる活動をしていきます。
第1回はウヴェ・ローゼンベルグのパズルゲーム3部作から『ノヴァルナ』、『フレームワーク』。選んだ理由は以下の2点(もう一個のサガニは次回以降に回します)。
前作の作成時に参考になったり、うらやましいと思う部分が多かったこと
有名作者の3部作、BGAで遊べる等の理由で十分にボドゲ界隈で知名度が高い事
ルール等は以下の動画がわかりやすいかと思います。
ノヴァルナとフレームワークの共通点
まずは『ノヴァルナ』と『フレームワーク』の共通点を列挙してみる。
タイルは基本的にクリアすべき「お題」とそれを達成するための「資源」の2つの要素を兼ねる。(位置片方の要素しか持たない物もあるが個性の範囲内)
お題の内容:このタイルに「〇色のタイルの塊(合計X個)を隣接させよ」
配置するタイルは毎ターン1個。複数のタイルの中から選ぶ。
3が唯一のインタラクション。
これ以降はこれらの共通点の持つ良い部分について順番に記載していく
特徴:タイルが「お題」と「資源」を兼ねる
ざっと羅列するとこんな感じ。
「簡単さ」と「難しさ」を兼ね備える
お題を追加供給できる事で「取り返しがつかない状態」を回避する
丁度いい量のお題を供給する
<簡単さと難しさを兼ね備える>
ゲームは一般に様々な習熟度のプレーヤーに対応できた方が良い。
1人用のゲームが基本であるデジタルゲームであれば難易度選択をつけて対処するのが簡単だと思う。でも複数人で遊ぶことが基本であるボドゲではこの手段はとりづらい。作者としてはなんとかして「簡単な課題」と「難しい課題」を同時に出したい。
こんな時、「1つの要素を考えれば簡単だが、複数の要素を考えると難しい」という状況は非常にありがたい。
このタイルが「お題」と「資源」を兼ねているような特徴はどちらかだけを活かすだけなら簡単で両方を活かそうとしたりすると難しい。
<取り返しのつかない状態の回避>
「同じマークを隣接させる」という課題には注意すべき点が一個ある。「隣接する空きマスが埋まるとこれ以上伸びない≒詰む」という点だ。マークの隣接が少ないうちは隣接する空きマスが少なくこの状態になりやすい。その反面一定以上の大きさになると周りの空きマスが多いため適当にやっていても詰みにくい。
うまく繋げた人がそれ以降もつなぎやすく、うまく繋げられなかった人が繋ぎにくくなる。(私も上記のパタパタ紙ペン制作の途中で気づいたが)以下の記事で書いたような「敗者に敵対する(あるいは勝者に味方する)」ルールとしての側面が隠れている。
よって作者としては「詰み対策」と「連続数の上限(=他のお題に行く仕組み)」が欲しい。
今回の方法だと お題が新たに追加され続けるので基本的に積むという事が無いし、お題なのでクリアする事で「それ以上続けても仕方がない。別のお題に行こう」と確実に思わせる事ができる。
また、タイルを並べた盤面の大きさも決まっていない事や課題を分割できる事(5個隣接するという課題を「3個の塊と2個の塊に隣接させる」ことでも達成できる)を含めて非常に詰みにくく、取り返しがつく。
”大いに悩めること”と”取り返しのつくことによる気軽さ”の両立を目指すうえでこういう特徴は心強い。
<丁度いい量のお題を供給する>
また、課題をルールで与えているのに比べて以下のような特徴がある。
・課題の数を序盤から中盤にかけて少しずつ増える
・課題が解決する事で、中盤以降は課題が増えすぎない
・課題が解決する事で、考えるべき箇所が変わる。(同じことの繰り返し≒飽きの防止)
お題が少ない状態で少しずつ慣れていき、徐々に考える事を増やしつつ、そのお題が少しずつ変わっていく。
特徴:お題の内容
上記に書いてしまったので省略。
しいて付け加えるなら視認性の良さ。「同じ色の塊」というのはパット見て見つけやすい。色覚多様性に配慮して各色で模様を変えつつ「同じ色をX個繋げるというのは非常に良いお題。
特徴:タイルを複数個から選ぶ
この仕組みは以下の2つの効果がある。
パズルが苦手な人のためのゲーム的な「浅い」工夫
「タイルの偏りによる運」で負けたと言われづらい状況の作成
1について書きで説明する
パズルが苦手なゲーマーの為に 浅い工夫の提供
パズルゲームを始めて作ってみて、浅さと深さは別パラメータとして捉えた方が良いと感じた。パズル好きのための深い部分も苦手な方でもある程度何とかなる要素も必要だ。1人用ならレベルをいくつか作ればそれでよいが、大勢で同時に行う場合そうはいかない。
どんなにパズルが苦手でも同じ色のタイルを選び続ければ必然的に同じ色が繋がる。また、「他人と(あるいは上家だけでも)狙いが被らないと良い」という部分を使ってインタラクションを作っている。
難点は選べる選択肢が増える分、思考量が増える事。
問題自体をそこまで脳の容量を圧迫しないものにするようにした上で複数タイルの中から採用はかなりありだと思う。
最後に
このような形でパズルゲーム(やパズル)について考えた事をまとめていきます。現状、あまり時間が取れないため、パズルゲームのプレイやXで軽めに書く事が中心になり頻度は月1かもっと低いかになるかとは思います。
おすすめのパズルゲームや「こういう意味の工夫なのだと思う」というご意見等ありましたらコメントかXの方でコメントいただけたら幸いです。
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