川柳で若い世代にエールを送りたい　23/7/16

１.川柳の一言コメント

「今年の水着今年の私　うふふふふ」

　今年も夏がすぐそこまで来ています。夏の浜辺では様々な出来事が起きます。特にキラキラ輝いている若い人達にとって夏は特別な季節で、一生を左右する出来事が起きるかもしれません。

　この川柳は、高校生~20代前半の若い女性の立場になって考えた、私の妄想の産物です。若さはそれだけで大きな魅力です。肌に艶や張りがあって、何にでも挑戦できる体力と気力があって、夢を実現できる可能性があります。

　若いときは様々な知識や経験を吸収して成長します。同じ人が一年後には別人のように立派に、魅力的になっていることがよくあります。そんな、心も身体も成長を続ける若い女性が水着姿になるときの心境を想像しました。

　去年は身体の線が弱くて着こなせなかった流行の水着も、今年は成長して水着が映えるスタイルに変身しました。内面的にも少女から大人へ、或いは、未成熟の女性から成熟した女性に脱皮を遂げ、今年は堂々と大胆に振舞えるようになりました。

　そんな女性が、「私は今年変わったの。今年の夏は私が主役よ」と、自信と野心が心の中に渦巻いてほくそ笑んでいるのです。私の妄想ですが・・・

２.私の経験で思う事

　私は和歌山県内の高校を卒業して銀行員になりましたが、最初の勤務先は大阪の支店でした。私にとって大阪は大都会で、支店で働く同僚の女性は垢抜けした都会の女性でした。

　その頃、銀行内部で若手男性と女性との親睦会が定期的にありました。ちょっと考えるとおかしな親睦会ですが、立場の弱い若手行員と女子行員が、中堅以上の男性で占められた役職者に気兼ねなく話が出来る仕組みでした。

　その会では若手行員のみが参加できる企画もあって、若い男女にグループ交際の場を提供していました。今回「グループ交際」という言葉を、私は何十年か振りで使いました。高校生の話ではありません。若年の社会人の話です。実にほのぼのとした時代でした。

　銀行員になって初めての夏、その親睦会で若い男女だけで海水浴に行きました。７、８人の少人数で、場所は忘れましたが大阪府南部の海水浴場でした。大阪では親しみのある近場の海水浴場でしたが、私にとっては初めての場所で新鮮でした。

　砂浜のテントにレジャーシートを敷いてパラソルを立て、ひと息ついてから水着に着替えました。男性はその場で着替えましたが女性は浜辺に設置された更衣室に行きました。そして、水着姿の女性が現れたとき・・・。

　私と同期の女性は露出が少なめの水着でしたが、一つ上、二つ上の先輩女子行員の多くはビキニで現れました。衝撃を受けました。普段、職場で事務に携わる制服姿とは全く別人で眩いばかりでした。「えっ、この先輩がこんな姿に・・・」と、心の中で叫んでいました。

　田舎者の私は目のやり場に困り、どのような反応をして良いのか分からず、海と空を交互に眺めていました。そのとき私は満年齢で18歳の未成年(当時の成人年齢は20歳)でしたから、止むを得ない面もありましたが、今思えば情けない話です。

　女性が水着で男性の前に現れるときは、自身の魅力をアピールするときです。男性はそのアピールに反応しなくてはなりません。そして、その反応は必ずプラスの反応でなくてはなりません。

　いきなり「結婚して下さい」と言い寄るのは馬鹿です。女性から平手打ちを食います。しかし、「あなたの魅力に圧倒されました。感動しました」という驚きを表現すべきです。

　それは、誉め言葉であったり、表情や動作だったり、それぞれの男性の個性で表現方法は変わってきますが、いずれにしても洗練されたものであるべきです。

　とっさにそのような言葉や表情・動作で反応できるように普段から心構えが必要だと、私は個人的に思います。但し、私は、こういう事が今でも下手です。

　こんな場面に出くわした日の夜、夕食を終え、入浴を終え、これから眠りに就こうかというときに、「ああ、あのときもっと気の利いた言葉を掛けられたら良かったのに」と反省することが度々です。

３.瀬川さんの絵

　漫画家の瀬川　環さんが、この川柳からイメージした絵を描いてくれました。

今年の水着今年の私　うふふふふ

　私はこの絵を見た瞬間、強い衝撃を受けました。この大胆さは何でしょうか。この煌めきは何と表現すべきでしょうか。夏の海辺、きっと夕方だと思いますが、健康的に日焼けした女性がウインクしています。誰に？？？

　女性の前の男性は何をしているのでしょうか。もし、変身を遂げた女の子に驚き、衝撃のあまり頭が変になって走り回っているのだとしたら、若き日の私とオーバーラップする部分があります。

　この男性はジャージでトレーニングをしているようにも見えますが、何ともはや、眩いばかりの女性と、ダサい男性との対比は見事でもあります。女王様と下僕の関係でしょうか。

　もしも私の若い頃、目の前にこんな水着の女の子がいきなり表れて私にウインクしたら・・・、私は一週間くらい仕事が手に付かずに、昼も夜もこの女の子の事ばかり考えていただろうと思います。

　今年も夏が来ます。いったいどれだけの若い女性が夏の主役になるのでしょうか。