不良にバカにされた話 【 いにしえの高校時代 7 】

漫画やテレビドラマに出てくる不良はカッコよかった。
不良に憧れる年頃でもあった。しかし、残念ながらわが校には本物の不良はいなかった。

そんな中、留年してきて同学年になった男子が一番不良ぽくて、みんなの憧れの的であった。みんなは遠くから眺めていた。

彼は、いつもハードボイルド風のムスッとした表情で廊下を歩いていた。すれ違うとかすかに煙草の匂いがした。シャツの胸ポケットは四角く煙草の箱の形にふくらんでいるように見えた。確信はない。
だが、ケンカなどテレビドラマの中の不良がやっているような派手な出来事の噂は何もなかった。

その頃、クラスの男子たちは、不良のファッションなどを熱心に研究していた。
そして、ある休日に、不良の真似をしたファッションに身を包み、不良っぽい髪形、表情、歩き方で、電車で30分のところにある繁華街へ繰り出してみたのだ。

研究の効果バツグンで、すぐに本物の不良にからまれた。
わぉ!
本物だ!

本物の不良「どこの学校じゃ!?!?!?!?!?!」
偽物の不良「〇〇高!」
本物の不良「なぁーーーーんだ。〇〇高か……」
即、解散!
だったらしい。

学校名だけで、不良にバカにされ、相手にもされない高校って…どんだけ………

男子たちは、翌日、クラスで情けない武勇伝もどきを披露してくれた。見た目のファッションだけだとすぐにバレてトホホだよ、だったそうだ。

そして、それ以降、男子たちは、不良に関しては漫画とテレビドラマで楽しむだけになった。フィクションの方がずっとカッコよくて楽しめるのだ。





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