そしてミランダを殺す

ピーター・スワンソンの「そしてミランダを殺す」を読みました。確かに「ケイトが恐れるすべて」よりこっちの方が面白かったですね〜。倒叙ミステリ好きなので、こういう犯人側が殺害を計画して細かいことを詰めていく小説、そして殺しちゃったあとで追い詰められていくの楽しかったです。読んでると「あ！あれやばくない？」みたいなミスしたりして、それが面白いんですよね。

どういう話かと言いますとね、若くして大金持ちのテッドが空港で出会った美女に打ち明け話をするんです。妻のミランダが建築家、テッドが金を出して建てている家を担当する建築家と浮気をしている、ミランダを殺したい、と。そして美女は殺してもいいと思う、というんです。そしてついには彼女はテッドを手伝ってミランダを殺してくれる、という。正確にはアリバイを提供してくれるってだけで手を下すのはテッドなんですけどね。その美女の名前はリリー。そして次の章ではリリーの過去の殺人が語られます。リリーは今までの人生で人を殺している。1人目は少女時代。どうやって殺したか、というあたりが書いてあるわけです。そして計画をテッドは進めていくのですが、思わぬことが起きるのです。

リリーが魅力的なんですよね〜。この話、テッド視点から始まりますが主人公は間違いなくリリーです。テッドはなんだかんだ平凡な男です。リリーが非凡。いくつかの点で「ケイトが恐れるすべて」と被るのですが、きっとその点がこの作家の好きなポイントなんでしょう。クローゼットに閉じ込める、とか過去に人を殺してそれを隠して何事もなく逃げおおせたりとか。

これが歴史に残るミステリになるかはわかりませんが、確実に時間は楽しく潰せます。ですのでおすすめですね。