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連続殺人犯と二人きりのドライブ

ライリー・セイガーの「夜を生き延びろ」読みました。
ライリー・セイガーは「すべてのドアを鎖せ」の作者ですね。前に読んで面白かったんで今回の作品も楽しみにしていました。

あらすじは以下。

女子大学生のチャーリーは、親友のマディを連続殺人犯キャンパスキラーに殺されました。キャンパスキラーはもう3人も女子大生を殺していて、その3番目の被害者がマディなんですね。チャーリーはマディが殺された夜、最後にマディと話した人物なんですが、その時にマディが帽子を被った男と一緒にいたのを見ているんです。その男がおそらくキャンパスキラー。しかしチャーリーはその男の顔を思い出すことができないんですよ。
チャーリーは両親を交通事故で亡くしてからちょっとぼうっとしてしまうところがあって、空想が勝手に頭の中で始まってしばらくその脳内で上映される短時間の映画のようなものに見入ってしまうんです。だから何かが起こってもそれが自分の妄想なのか、それとも実際に起こったことなのかが、調子が悪いとはっきり言えなくなるんですね。
当然亡くなったマディの家族からは責められます。どうか思い出してくれ、親友なんだから犯人の顔を思い出して、マディを殺した犯人を捕まえる助けになってくれ、と。でもチャーリーは思い出せない。
大好きな親友を失ったチャーリーは精神的に参ってしまって、両親亡き後彼女の面倒を見てくれている祖母のもとに帰ろうと決めます。でも両親の事故死以降彼女は自分では車を運転していません。また、送ってくれるはずの彼氏は仕事の関係で数日は送れないんですね。でもチャーリーは彼の都合が良くなるまで待ちたくない。
そこで大学の掲示板で、ガソリン代を半分持つ代わりに大体の方向が一緒の人に、その人の車にチャーリーも相乗りさせてもらう、そういう募集をします。そこで出会ったのがジョシュです。よく知らない男の車で数時間の長距離ドライブ。それもキャンパスキラーが捕まっていない中で。彼氏のロビーは心配するし、チャーリーも不安ですが、とにかくやってみることにします。
ところが車が走り出してちょっとしてから、チャーリーはジョシュがキャンパスキラーなのではないかと疑うようになるんですね。なぜなら助手は、報道されていない事実、「キャンパスキラーは被害者の歯を盗む」という事実を知っていたからです。
その場で大騒ぎして車から降りようとしたら殴り殺されるでしょう。ジョシュは大男でチャーリーは華奢な女の子なんですから。チャーリーは頭を使ってなんとかキャンパスキラーが逃げなければならないわけです。

この小説、映画がテーマになっています。チャーリーが映画ファンでしょっちゅう映画が出てくるんですね。私割と映画が好きなので作中に出てくるやつは大体見ていてそういう意味でも面白かったです。ただちょっと、「あ、これ映画か意識して書いてるなぁ」と思う部分が多かったんですが、最後にその点についても種明かしがありました。
私は「すべてのドアを鎖せ」の方が好きですが、前半だらだらしたものの後半はスピードに乗って一気に読めます。

これを読んだら最近の海外推理小説読みたいな〜という気分になったので積読の九尾の猫を置いておいて先にピーター・スワンソンの「8つの完璧な殺人」を読み始めてしまいました。これは書店勤務の男性が昔作った「8つの完璧な殺人」という推理小説のリストに沿って殺人が起こる話なんですけど、私も私の好きな推理小説のリスト作ろうかな。コロナで外出制限になって以降あれこれ読んだ中や前に読んだものも含めて超私的ベスト海外推理小説ベスト10とか作りたいです。

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