見出し画像

その女の死体はいつ「樽」に入れられたのか、ヨーロッパのアリバイ崩し

F・W・クロフツの「樽」読みました。
アリバイ崩しで有名な作品ですね〜。

冒頭は面白かったんですよ。ある会社の社員が仕事でロンドンの港に積荷の確認に行くと一つだけ変な樽があってその隙間、板が緩んだところから金貨が何枚も溢れてくるんです。どうなってんだろう?と調べると死んだ女の指が出てくる。大変だってなって当然警察へ、いやその前に社長に連絡だってなってるところに1人の男がやってくるんです。その樽を引き取りに来た、と言って。

出だしは最高に面白いんですけど、これ、中盤はいいんですが後の方になればなるほどだれてくる。原因はいくつかあると思うんですけどまず探偵役が途中で変わること(警察→弁護側の雇った探偵)っていうのが一つだと思いますね。警察もフランスの警察とイギリスの警察の2人で協力したりして丁寧に地道に一つ一つの操作をして行くんですよ。で、その後探偵が出てきて警察の捜査の穴とか思い込みによる部分をはっきりさせていく。

このくだりがだるいんですよね〜!松本清張の「点と線」に雰囲気似てるんであの雰囲気が好きな人はいいかもしれませんけど、「点と線」は話の流れが割とまっすぐじゃないですか。「樽」は一回8割まで行ったところで今度は探偵の視点で2割のところまで戻ってそこからたどり直すから結構面倒くさい。挙句に結構偶然と勘違いの部分が多くて。まぁ世の中は偶然と勘違いに満ちていますけれども。

ただ冒頭の緊張感とか一体どこで死体が入ったんだ、とか面白いことは面白いです。でも私が一番面白かったと思ったのは開始から3割くらいまでのところかな。
まぁ有名な作品なんで一応読んでおいてよかったかなというくらい。