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シャム双生児の秘密というよりは火の迫る山の中で

エラリイ・クイーンの「シャム双生児の秘密」をだいぶ前から読んでいたんですが、この話、舞台設定がすごくて、山火事で孤立したお屋敷の中で殺人事件が起こるんですよ。そもそも殺人だけでも大変(二人死にます)なところに、そのほかの人々もみんな焼け死んでしまいそうな大火事なんです。正直殺人犯なんかどうでもいいくらい、読んでいるとこっちの肺が熱くなりそうなくらいの火事。
それで読み進むうちに胸が苦しくなってなかなか読めなかったんですが先日なんとか読み切りましたのでその感想を。

エラリイとそのお父さんのクイーン警視は二人でドライブ旅行をしていたところ道に迷って山の中に入ってしまいます。山道を車で走っていると山火事に遭遇するんですね。逃げれるのは上へ向かう道だけなのでそちらへ進むと行き止まりで、そこには一軒の陰気なお屋敷がありました。二人はその陰気なお屋敷に一夜の宿を請います。
そこには外科医のザヴィヤー博士とその奥さん、助手、お客さんなどがいまして、でもどうやら秘密がある様子。火事のせいで翌日も山を降りられず足止めされた二人の前に体のくっついて生まれた双子のフランシスとジュリアン、そしてその母親で社交界の花形のキャロー夫人などが隠れるようにしていたこともわかります。ザヴィヤー博士はフランシスとジュリアンの体を分けることができるかとかそういうことを研究していたので、それで母親のキャロー夫人が息子たちを連れてきていたらしいんですね。
ところがこのザヴィヤー博士が殺されてしまう。犯人は誰だ?となったところで火事はどんどんひどくなってだんだん食料も乏しくなっていくのです。そして2件目の殺人も起こります。

火事と山の中のお屋敷、いいですよね。私クローズドサークルもの大好きです。スリリングだし。本当に絶対絶命のところまで行きます。ジュリアンとフランシスの双子も魅力的だったなぁ。上品で明るくて。
ただ犯人はかなりこねくり回した感じです。ただエラリイ・クイーンはそこがすごいよなと思うんですが、どれだけ話がややこしくなって探偵役の説明が持って回ってくどくてもちゃんと犯人は出されたヒントから分かるようにできてるんですよね。そのフェアネスは今回も健在です。考えればちゃんと犯人はわかるようにできている。

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