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ドルリイ・レーンのアンチですが「Xの悲劇」を遂に読んだらやっぱり名作だった

まさかそんなと思う方もいましょうが、私ドルリイ・レーンが大嫌いなんですよ。ドルリイ・レーンってエラリイ・クイーンが作り出した名探偵です。そうだなぁ。世界有名探偵ランキングとかやったら恐らく10位以内に入るんじゃないかな〜っていう探偵です。ただしテレビドラマのオリジナル脚本出身の探偵は除いた場合ですけど。テレビドラマ入れちゃうと、小説は読まないけどテレビは見る人たちの票が入って多分コロンボとかが上の方占めちゃうので。
エラリイ・クイーンってエラリイ・クイーンっていう探偵の作品とドルリイ・レーンが探偵役の作品が有名なんですけど、その後者の方ですね。エラリイが探偵の方だと「国名シリーズ」が有名でドルリイ・レーンの方だと「悲劇四部作」が有名です。
私エラリイの方は結構好きなんですが、ドルリイの方が本当に嫌い。どれくらい嫌いかというと旦那とデートに出掛けてレストラン入って、食事しながらずーっと悪口を言い続けられるくらいに嫌いなんです。スープから魚料理くらいまで悪口言ってました。他の話もしつつですけど。なぜそんなに架空の探偵を嫌いになれるのか謎ってくらい嫌いなんですよね〜。
ドルリイ・レーンって元シェイクスピア俳優で、めっちゃ名優だったんですけど聴覚を失ったので引退して、くそ時代がかったハムレット荘っていうお屋敷で暮らしながらくそ上から目線の手紙を警察に送りつけては事件に特別枠で首突っ込んでくるってやつなんですよ。
私が架空のキャラクターを嫌いになるにはいくつか条件があるんですけど
①作者がキャラクターを大好きで過剰に仰々しい表現の褒め描写が続く
②周囲の人間が不当にそのキャラクターを侮り、後になって感嘆してからは崇める
③「私は最初から全てがわかっている。でも今は言えない」発言
④気取り屋なのになぜか誰もそれを指摘しない。恐らく作者がその気取りをかっこいいと思っているから。
⑤主人公すげーだろムーブ。でも凄さアピールしたいだけであんまり意味がない。
大体これなんですけどドルリイはフルコンプですね。あと話が長い。
「Yの悲劇」が名作なので遥か昔に読んで、確かに事件自体は面白かったし、水利にも完全に納得がいったんですけど探偵が嫌いすぎて嫌いすぎて、でも推理小説においては探偵って基本かなりの時間ページに登場しているでしょう、ドルリイを避けることが難しいので長らくエラリイ・クイーンの作品を避けていたんです。でも探偵違えばいけるかな?と思って読んだ国名シリーズが面白かったのでそれから「しょうがない、ドルリイ行っとくか」という気分になってこの度名作「Xの悲劇」読んだんですよ。

事件は面白かった。推理にも完全に納得がいったし、事件も興味深かった。多少「これページ数稼ぎじゃないか?」みたいな描写がありましたがさすが名作だよなぁって感じでした。
でもドルリイの気取りはいただけなかったですね〜。熊かなんかの毛皮の上に全裸(ほぼ)で横たわってるのとか笑いそうになりました。描写もやばかった。高級ホテルのパーティーでのクソ長い演説(頼まれてもいないリア王の演技つき)のあたりも私がそのパーティーに参加していたら絶対隣にいる人を突っついてニヤニヤしてしまうところだった。馬鹿にしたくなるよ、こんな気取り屋。ほぼ意味のない変装も笑っちゃった。

犯人は私の嫌いなタイプの犯人でした。エラリイ・クイーン結構こういうタイプの犯人設定するよね。物語的にはもっとメインどころの人が犯人じゃないと面白くないんですけど。

でも面白かったです。事件は。
すごい特殊な凶器だから確かにこれしかないような〜という感じでしたし二つ目の殺人からもこうだろうな〜と思えましたけど。
でも物語が進むと何となく最初のこうでなければならないがうやむやになるんですよね。ドルリイの解説は完全に納得しました。変なおっさんですけど確かにいい探偵だ、この人。

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