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ポピーのためにできること

これは面白かったですねぇ。夜中まで読んじゃった。面白すぎて。

文学的に優れているとか、ミステリーの名作として後世まで読み継がれるだろうとか、そこまでではないんですけど、気軽に読めて興味をひいてずっと面白いです。
これはある弁護士先生が、現在審理中の事件について、資料を司法修習生の二人に読ませるっていう形式です。だから小説というよりは関係者のメールはチャット(日本で言えばLINEのイメージですね)を読み進めることで何が起こったか、誰が犯人か、などを当てていく物なります。つまり、推理小説言うよりは事件資料です。資料を読んでいる。

ざっくりどういうことが起こっているかお話しますと以下の感じ。
舞台はイギリスの田舎町。
街の名士マーティン・ヘイワードは素人劇団を主催してるんですが、新しい舞台のオーディションもしたのに全然稽古の日程を送ってこないんですね。劇団のメンバーが散々急かすとようやく連絡が来るんですが、彼の2歳の孫娘、ポピーが難病を患っていると言うんです。治療法を探しているとアメリカで開発された新薬がどうも効くらしい、しかしこれが非常に高額なのでクラファンをやりたい。マーティンを助けようと劇団メンバー中心にみんながチャリティーのために奔走します。かつて寄付集めをしていたSJやその夫でフリーメイソンのケヴィン、看護師のイッシー、最近アフリカから夫婦で戻ってきた看護師夫妻のサマンサとケル、舞台美術のジョエル・ハリデイやメイクのメアリアンとその家族諸々です。もちろんマーティンの息子のジェームス・ヘイワード夫妻や、ポピーの母親のペイジ・レズウィック(マーティンの娘です)家族なども頑張ります。
資料を読み進めていくうちにどうやら詐欺が行われているらしいことがわかってきます。新薬の窓口になっている医者をサマンサは疑っているし、イッシーはみんなに嫌われているし、マーティンはSJに催促されてもなかなか募金の具体的な達成額を明かさないし。
そしてある日、舞台の本番後に殺人が発覚するのです。

メールの送られた時刻や言葉遣い、この人にはこう言うけれどあの人にはああいう、とかいろんなことに注意して読んでいると面白い。メールとリアルではキャラがかなり異なっていたりとか。

メールやLINEで必ずしも真実を書くわけではないですが、複数人のそれを読むことで見えてくるものもあります。そういう意味で非常に面白いので飛行機に乗るとか新幹線の時、病院で長時間待つ時なんかのお供にどうぞ。


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