追い詰められた女たちの入れ替え逃走劇「プエルトリコ行き477便」
ジュリー・クラークの作品ですね。久しぶりの海外ミステリ感想です。実はこれの前にもちょこちょこ読んでるんですが感想書きたいとは思わなかったし時間も経ってしまったのでそれはもうスキップします。
この作品、結構楽しみにしていて楽しみにしすぎて買ってしばらく読みませんでした、なぜか。でも読み始めたら一気でかなり遅くまで読み続けてしまって翌日眠かったです。
読書は計画的にしないといけないなぁ。
あらすじはこうです。
クレアは政治家の家系で名家のクック家に嫁いだものの不幸でした。夫のローリーが些細なことで暴力を振るうんです。何度も骨折し、あざを作り、独身時代の人間関係は断たれています。逃げ出したくてもローリーは使用人たちを厚遇することで(彼らの子供たちの教育費を全てローリーが払っています)使用人たちをクレアの監視に使っています。クレアの家族は既に全員亡くなっていて実家の助けもありません。元々シングルマザー家庭で妹と母とクレアの3人だったのが、ずっと昔に交通事故で2人とも亡くなっているんです。
しかしクレアには高校時代の友人でロシアマフィアのボスの娘ペトラがいます。ペトラと現ロシアマフィアのボスのペトラの弟の助けを借りて、クレアは逃亡の準備をします。チャンスはクレアが1人で出張できる日。用意してもらった偽の身分証明や現金は既に出張先のホテルに送ってあります。ところが出発直前、突然夫が出張先を変更します。夫がホテルに着けば逃げようとしていたのは必ず露見する。でも止めることもできません。どうしていいかわからないクレアは空港でやはり逃亡したがっている女性エヴァと出逢います。クレアは衝動的に彼女と身分を交換しますが、実はそれはエヴァの策略だったのです。
二転三転する物語です。白馬の王子様が出てきてクレアを救ってくれるということはありません。これは追い詰められた女性が知恵を絞って、そして周りの温かい人の助力も得ながら何とか生き残ろうとする物語です。
プエルトリコ行き477便がなぜタイトルなのかは物語を読み進めていくうちにわかります。逃げようとする女性の話なのでかなりスリリング。彼女がどうなるかが心配で読み止めることができずに一気に読む感じになります。