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小坂です。
私は会社員、個人事業主という肩書以外に、一般社団法人の理事、特定非営利活動法人(NPO法人)の理事という肩書があります。

2020年に特定非営利活動法人ウォークラボ札幌を有志で立ち上げました。
そのときの経験をここにまとめます。


注意点

2020年に設立した際の内容なので、本noteをヒントとしながらも、詳細は各所轄庁などに確認しながら進めて下さい。

所轄庁

NPOは所轄庁の認証を受ける必要があります。所轄庁は都道府県ですが、政令指定都市で行う場合は政令指定都市になります。
私も札幌市が所轄庁でした。

スケジュール

株式会社などと異なる点として、認証と登記が離れることが特徴です。
下記の図をご覧ください。

(例)準備から登記までの流れ

まず設立総会を行い、所轄庁に申請すると、その後「公告」の期間が設けられます。
その期間は約1か月。
それと並行して認証審査が行われます。審査は3か月以内とされていますが、公告の期間を考えると審査は1か月~3か月となります。
登記は認証後2週間以内となっています。
ですので、株式会社に比べると時間がかかります。

申請書類で必要なもの

では認証を申請するために必要な書類はなんでしょうか?
それは下記になります。

  • 定款

  • 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)

  • 役員の就任承諾書及び誓約書の謄本

  • 役員の住所又は居所を証する書面

  • 社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面

  • 認証要件に適合することを確認したことを示す書面

  • 設立趣旨書

  • 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本

  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書

  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

定款は法人である以上必要なのは当然ですが、それ以外のものがあります。
NPOは株式会社などと異なり報酬の制限があります。
そのため報酬の有無をここで定める必要があります。
役員というのは理事と監事で、理事は3人以上、監事は1人以上、上限は定款で定めます。
社員というのは設立発起人で、10名以上必要です。
「設立についての意思の決定を証する議事録の謄本」は設立総会(社員が参加)の議事録の控えで、事業計画書や活動予算書も設立総会で決議が必要です。

決めないといけないこと

では、何を決めないとこれらの準備ができないのでしょうか?

  • 定款・設立趣意書に記載する目的と事業内容

  • 所轄官庁

  • 理事・監事の上限定員

  • 理事・監事の人選、代表理事の選任

    • 報酬が発生する理事は1/3以下

  • 社員(=設立発起人)10人以上の人選

  • 事業内容に記載する2年分の活動予定とそれに伴う収支規模

  • 法人の名称

  • 法人の所在地

活動予定や収支規模を決めるためには、会費や会員予想人数、会費以外の事業収入内容と規模を決める必要があります。

設立総会までの準備

設立総会では定款の承認や予算書の承認、理事・監事の選任などを行います。
そのために準備することです。

  • 理事・監事の選任

    • 名前、住所の確認と、報酬の有無の決定

    • 住民票を確認

    • 理事・監事の就任承諾書を集める

  • 発起人(社員)の決定

    • 名簿作成(名前と住所)

  • 認証要件に適合することを確認したことを示す書面の作成(ほぼひな形)

  • 定款の作成

    • 目的をどうするか

  • 設立趣意書

  • 事業計画書(2年分)

  • 活動予算書(2年分)

    • いわゆる損益計算書に近いものです

  • 議事録案

会費をどうするか

社員の条件を決める必要があります。
会費です。
あまり少なすぎると収益にも課題が残りますし、乗っ取りのリスクも高まります。
なおNPOウォークラボ札幌では正会員の会費は年1万円とし、賛助会員(議決権なし)は3000円としました。

事業目的をどうするか

NPOでは事業目的が限られています。下記20個から決めます。
やらないことは入れないほうが認証は通りやすいようです。

  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動

  2. 社会教育の推進を図る活動

  3. まちづくりの推進を図る活動

  4. 観光の振興を図る活動

  5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

  6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

  7. 環境の保全を図る活動

  8. 災害救援活動

  9. 地域安全活動

  10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

  11. 国際協力の活動

  12. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

  13. 子どもの健全育成を図る活動

  14. 情報化社会の発展を図る活動

  15. 科学技術の振興を図る活動

  16. 経済活動の活性化を図る活動

  17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

  18. 消費者の保護を図る活動

  19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

  20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

あとは淡々と

事前準備、設立総会が終われば、所轄庁に認証申請を行い、その申請が降りたら登記申請です。
私たちの場合、設立総会から認証が降りるまでが約3か月でした。
その数日後に登記申請を行い、2週間以内に登記も完了しました。

一般社団法人との違い

似ているようで似ていないので比較表です。

NPO法人と一般社団法人の違い

共通点は株主がいなくて、社員が理事を決めるとか、収益の分配が不可などありますが、NPOは正会員が総会の議決権を持つこと、活動内容に制約があることなどがあります。
NPOにおいて会員が議決権を持つということは案内の送付などの事務作業も多くなりますので、それをまかなえるように会費は決める必要があります。
また会員になる条件は付けられないので、安すぎると乗っ取りもされやすいです。

設立を自分たちでやるのであれば登記費用がかからないのはNPOのメリットです。

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