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145冊の教科書

近藤です。

昨夜突然大雨が降りました。けれどもあっという間に上がったので空気はもわーんとしたまま朝を迎えた山の我が家です。

昨日は私の町の教育委員会の定例会がありました。

多分一年で最も傍聴人の多い日だったと思います。

というのも今年は来年度に中学校で使われる教科書を決める年で、昨日はまさにその採択をする日だったのでした。

今年、私たち教育委員の手元に届いた教科書はそれぞれの委員に全部で145冊ずつ。これを時間をかけて全て読み込んでいきます。そして、調査した専門委員や採択委員会の報告書なども読み込みます。

そして、最近は珍しく無くなってきた教科書のについているQRコード。これも読み取って聴き比べ、観比べをします。いいものがあると集中しちゃってあっという間に時間が過ぎる魔物です。

そうこうしながら床の上一面に広げた教科書の真ん中でしゃがんであちこち見比べていると、紙の海で行きつ戻りつ一人ぼっちで遠い島を目指して泳いでいるような気持ちになります。

さて昨夜、採択が終わって帰宅して水を飲んでいた時、「精魂尽き果てた」とはこのことだなと思いました。もうとにかく脱力。やり切ったよ、今年の私お疲れ様(まだ8月ですけど)。

そんな私、ソファーで横になったらもう動けない。でも動かなきゃ、と思ったのですが、難しい。そこで(お恥ずかしい話ですが)頭から床へずるっと降りているのを見た子どもが「お母さんが液体になっとる」と名言を発しました。

そして、今朝もゴミ捨てを忘れてはならぬ、と起きたもののやはりどうにも疲れていて、件のソファーでちょっと横になり、そして再び液体に。が、ずるずるやっている間に娘がさっさとゴミを集めて出してくれました。頼まなくてもやってくれるというのは疲れた体にありがたいことです。

さて、仕事場の机の前にはまだ145冊の教科書たちがダンボール箱に入って鎮座しています。教育委員会へお返しするまでの間、自分の選択が本当に良かったのか、と問いただされているようでプレッシャーを感じますが、一方で「これが今の私の最高の選択です」と言える、とも思っているんです。

渾身の力を込めて選んだ教科書たちよ、来年の4月からどうかいいい働きをしてくれますように。

では、また。