マスクマスクマスク。そしてトイレットペーパー。

「知ってるもん。かみのかわりに、木のぼうでふいたんだもんねっ。それから木のはっぱや、ものいっしゅ。」(もは藻のこと)

「ガルガンチュワって、王子さまがいたんだけど、その王子さまはね、ビロードのぼうしでおしりをふいたり、えりまきでふいたりしたんだって。いちばーんいいのは。(ちいさいアカネちゃん/松谷みよ子/講談社)」

近藤です。

ゆったりした山の我が家周辺。おまけに隣町は製紙工場が有名で日本有数の紙どころ。それなのにここまでトイレットペーパーパニックはやってきています。

最近、近所の小さなスーパーのそばを朝通ると、たくさんの車が止まっているのを見ます。

昨日の午後にレジの女性と話をしていて「朝、すごい車だったけどなんの特売だったん?」と聞いたところ「特売じゃないんよ。トイレットペーパーよ。で、ついでの箱のティッシュペーパー(5箱組)も」とのこと。

「あるって言よんのにねえ」と疲れた様子でした。


みんなデマだって分かっているんですよね。だけどもしも、って思うんです。

マスクと同じことになっちゃいけないって思うんです。

お店の棚がいっぱいなのが当たり前になっているからでしょうか、無いとなるとものすごく不安になるんですよね、私たちは。

おまけに早い者勝ちや数量限定に弱い。


トイレットペーパーのニュースを聞いて思い出すのは冒頭の会話。

(この本は1978年に出版されているのでちょうど第一次オイルショックの後。トイレットペーパーパニックを経験している著者が書いているのです)

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アカネちゃんという女の子がトイレトレーニングの際、ピンクのトイレットペーパーでお尻を拭きたいと駄々をこねます。主人公のモモちゃんは妹がピンクなら私はブルーがいいな、ママは白で。と言うとママは戦争中はこんないい紙なかったのよ、と言います。そこでモモちゃんが学校の社会科の時間に習った冒頭の話をするのです。

幸い我が家にはたくさんとは言えませんがまだ買い置きがあるので大丈夫。そして、この本の影響か、トイレットペーパーがなかったらあれやこれを使ってお尻を拭いて、それらは流せないから燃えるゴミに出そう、なんて考えてました。お湯も出るからシャワーで流したっていいし。と。

私の母などは「ちいさい頃はさくらがみとか使ってたし、友達の家に行ったら新聞紙がお便所にあって、それでお尻拭いてたわ。だからトイレットペーパー無かったら新聞揉んで拭きなさい」と子どもたちに話していました。(さすが我が母だと思いました)

油断したらいろんな不安に踊らされてしまうんだろうな、とこの頃思います。子どもにそんなところを見せたくなくて、

「必要以上のものを買うもんか」と意地になっているところもあります。

「備えること」「足りないから頑張って手に入れること」と「不安に駆られてものを手に入れに走る」のとは違うことを子ども達に伝えたいなと思うのです。


さて、冒頭の引用でモモちゃんが「いちばーんいいのは。」と教えてくれたのは、なんと「ふわふわしたガチョウの子」でした。子ども心に「これは拭けんわ。何羽使うんやろ」と思ったものでした。

では、また。