田んぼの洗礼
近藤です。
春ですね。山の我が家周辺は桜が満開です。山の濃い緑の中に桜や深い赤色のつつじが見えて華やかです。
この時期はいつもなら観光バスや自転車乗りの猛者、バイクの団体などで賑やかになるのですが今年は地元の人が散歩している姿の方がよく目立ちます。
今週は町の全ての学校が再開し、息子は山の中学へ入学しました。
(お父さんを残してどんどん行く入学式の日)
昨日は通学用の自転車の点検があったのですが、一年生にとってはなかなかハードルが高い日。
というのも入学二日目にみんな大きめの自転車に乗り、慣れない制服を着て、これまた慣れない「荷付けゴム(ヒモ?)」でカバンを荷台に固定して登校するのです。(大体どこの家もこの日は親が出てきていて子どもを心配げに見送っています)
田んぼの真ん中の道はちょっとカマボコ型な上に用水路もあり、道幅は車一台。みんな色んなところで転んだり、ふらついたり、荷物が落ちちゃったりするそうです。
フラフラと自転車で登校する一年生たちは初めて巣から飛び立つ子ガラスみたいに見えます。それが一年経つともうふざけたベテランカラスになるんですから、本当に今しか見られない特別な「かわいい危なっかしさ」なのです。
ですから朝、息子を見送る時に夫と、「田んぼに落ちないといいね」と話しました。
さて、下校時刻。
大急ぎで帰ってきた息子は自転車を置くと、何かを早口で言って走ってどこかへ行ってしまいました。そして戻ってくると「友達が自転車で転んでカバンの中身をぶちまけたんだ。とりあえず自転車を道の端に停めてあげて、荷物を一緒に拾っていたんだ」とのこと。
息子は何事もなかったのか、残念。
なんて思っていたら、ちゃんとやってました。
ふらついた友達の自転車を避けきれず、水を張る前の乾いた泥の田んぼの中に自転車を横倒しに落としてしまったんだそうです。
「ぼくはヒラリとよけたけんこけんかったし、どこも何ともなかったよ。ナップサックに泥がついたくらい。カバンも落ちんかった。でも自転車は一人で上げれんかったから友達と二人で上げたんよ」
と誇らしげでした。
山の我が家では交通事故の心配ももちろんします。けれども、中学生最初の自転車点検の日には田んぼや水路に落ちる心配の方が大きいというのが本当のところです。
私の母が息子に言ってました。
「50年後の同窓会でその話ができるけん、落ちてよかったねぇ。何にもなかったらつまらんけんね」と。
では、また。