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最近の米国金融不安まとめ

・現在の米国の金融不安の概要

ここ最近、米国では銀行が3行(シルバーゲート、シリコンバレー、シグネチャー)破綻し結果世界的な金融危機の不安が高まっている。

ここで一番問題になったのはSVB(シリコンバレー銀行/全米16位規模 29兆円)が破綻したこと。

前述のシルバーゲートとシグネチャーは暗号資産系の銀行であり、動揺はそこまで大きくなかった。

そもそも何故、SVBが破綻に至ったのかと言うと、2019年までは9兆円規模の銀行であった同行、それが2020年に米国で始まった金融緩和による金余りで米国ではstartupによる資金調達バブルが発生し、startup企業により多く融資をしているSVBは2020年には預金残高が一気に膨れ上がることになった。

そこでSVBは膨れ上がった預金を運用するためにMBS(不動産担保証券)などを10兆円規模投資を行ったのである

そしてSVBの不幸が始まる

2021年末には2020年から続いた量的緩和策も終わり

2022年3月からはご存知の通り米国の利上げがスタートしインフレに対応した過去にない急速な利上げが実施されたのである

その結果、SVBが保有する債券は大きな含み損(2割以上)が発生する事になった(そもそも何もリスクをヘッジしていなかった経営側の怠慢。資産の57%近くを運用に回してた杜撰のリスク管理)

但し、通常は満期保有目的債券の場合、一時的に含み損が発生しても満期時には額面償還になる為問題はないのである

ただここで2つの不幸がSVBにふりかかる

MBSには期限前償還条項もあり通常米国では不動産は7~8年で償却することもあり期限前償還を前提で長期MBSに投資をしていたSVB、世の中は金利上昇真っ只中、MBSの期限前償還は全くされる事がなかったのである

そして前述の通り、SVBの預金者の多くはstartup企業群

金利上昇に伴い、新たな資金調達コストが増えたことで預金から取り崩す動きが増えたのである

その結果、現金が乏しくなったSVBは本来売るつもりがないMBSを売るしかなくなり、保有債の中でも短期のものを中心に2.7兆円の債券を売却すると同時に2300億の損失を出す羽目になってしまった

そこで巨額の損失を出したSVBはこれを埋めるべく新規株式発行等の新しい資金調達計画を2023/3/8に発表したのである。

その結果、SVB株は2日連続で暴落し更なる資金流出騒ぎを起こし(3/10にはPayPalの創業者でシリコンバレーで有名なピーターティールが同行からの資金を引き上げろと言った事がTwitterで騒ぎになり取り付き騒動に発展)、同10日にSVBはスピード破綻に至ったのである。

・その後米国は異常なスピードで異例の支援策BTFPを12日に導入。

BTFP:簡単に説明すると格付けが高い政府保証債やMBSを持ってる銀行さん、もし資金が必要ならFRBが含み損は無視して額面通りお金を融通しまっせ。という金融引き締めの最中に金融緩和とも取れる政策をぶっ込んできた(現時点で利用は60兆円を超えてるとか)

・しかしそれでも不安が止まらないファーストリパブリックバンク(FRC)には大手11行が4兆円の預金も、それでも不安が払拭されない要因はSVBとは異なるFRCのバランスシート上の問題(つまりSBVは57%が政府保証債やMBSなどの債券保有であり金利上昇で含み損を抱え、資金繰が悪化したがFRCは資産の多くを融資している。)

このFRCの融資先がオフィスなどの不動産、それがコロナが明けてもリモートワークの活用継続などでオフィス需要は回復せず焦げ付き始めているのでは?という不安拡大へ、結果FRCや同様にバランスシート上不安がある中小銀行は下げ続けているのである。

またこの米国発金融不安は欧州にも飛び火し、CS(クレディ・スイス)のUBSによる救済合併やドイツ銀行の株価暴落も引き起こしている。

これらは米国が長く続けたQEの後遺症と過去例に見ない急速な利上げによる弊害だと思われる

今後起こることとして考えうるは、中小銀行の再編や合併、銀行による貸し渋り、それに伴う体力の乏しい企業の破綻等いずれにしても明るいものでは無いと思われるが、インフレ沈静化の側面もあり早急なインフレ抑制を期待したい。

また金利低下の恩恵を受ける資金力がある企業は反面チャンスを迎えると思う。

以上、少し適当なまとめ。

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