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60歳がくる8
同じ年齢の著名人がどのような活動をしているのか……。別にどうでもいいことなのに、やっぱり気になりますよね。例えば僕はタメ年の武豊騎手の活躍を心の支えにしています。野茂世代の現役プロ野球選手は10年ほど前に絶滅しましたが、公営競技ではまだまだ一線級で活躍を続けている人がいる。武豊以外にも競輪界のレジェンド・神山雄一郎とかね。
体力勝負じゃないカルチャー系の55歳は、まだまだ皆さん現役バリバリなのですが、なかには引退を宣言する人もいます。紀里谷和明監督は昨年公開の『世界の終わりから』をもって、日本映画界から決別すると公表しました。「バッシングされることに疲れた…」というのがその理由の1つだといいます。別に引退なんて宣言しなくても、撮りたくなったらまた撮ればいいのにとも思いますが、まぁ最後に恨み節のひとつも言いたかったのでしょう。
で、『世界の終わりから』。未見だったのでネトフリで昨夜鑑賞。いやぁ、よくもまあ同世代で(感情的に)こんな映画が作れるものだとある意味感心しました。ベターっとした物憂げな音楽を全編に配して、いつも通りの暗い画面でひたすら内省的で。イジメの描写とか世界の終わり方とか全部紋切り型、ブツブツと暗転する演出がきつい。
何度も途中で脱落しかけたけど、それでも最後まで見ることができたのは、伝家の宝刀である困り顔を連発する伊東蒼が素晴らしいから。彼女が出ていることでずっと見ていられました。夏木マリの湯婆婆ぶりもよかったし、キャストは子役を含めて全員好演していたんじゃないかな。
色々書きましたが、紀里谷作品の集大成としては悪くない。プロモーションをほとんどしなかったので客入りは厳しかったようだけど、予算も抑え目だし、配信だの海外だのあちこちで売っていけばそこまで悪い成績にはならないでしょう。ネット上の評判も悪くない。
上映期間には週刊女性PRIMEから酷い記事を書かれて紀里谷さんもSNSで激怒していましたが、そういったバッシングありきの連中のツラをバーンと張り返すほどのパワーは感じられなかったな。大作風だけど地味~な小品なんですよ。
これが30歳くらいの監督のデビュー作だったらわかるんだけど、50代半ばのベテランの引退作っていうのがなんとも。いや、まぁ、最後までリリシズムというかナルシズムというか、“らしさ”全開でした。ちなみに20年前の『CASSHERN』はちゃんと劇場で見ましたよ!
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