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【音楽あれこれop.3】 ピアノはなぜ楽器の王様か。vol.1

こんにちは、ライターの青竹です。楽器紹介編として様々な楽器を(時々)紹介していきたいと思います。

本日の楽器はずばり

「ピアノ」

皆さんも人生で一度は目にした事があるであろう「ピアノ」。楽器の王様と言われている「ピアノ」。でもなんで「楽器の王様」なんて大それた二つ名が付けられてるんでしょうか。だいたいどこの音楽室にもあるけど、それって量産し易いとか、誰でも簡単に音が出るとかそういう事なんじゃないの?楽器の王様って、ただ大きいだけじゃネ?

いやいや、ちゃんとした理由がありますよ。その辺の理由を、全二回に渡って探って行っちゃいましょう。 

まずはピアノの誕生の歴史について真面目にお勉強。

ピアノという楽器を生み出したのは、イタリアの楽器製作家、

バルトリオ・クリストフォリ・ディ・フランチェスコ(1655-1731)  

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彼は当時のイタリアで莫大な財産を持っていた「メディチ家」に仕え、楽器製作者として収入を得ながら生活していました。でもこの時代の鍵盤楽器の主流といえば「チェンバロ」。クリストフォリ自身も勿論、チェンバロの製作や修復を行っています。しかしクリストフォリはその音の小ささや強弱の幅の小ささが不満でした。そこで新たに生み出した楽器が現在のピアノの原型となる「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」、現在では「ピアノフォルテ」や「フォルテピアノ」と呼ばれている楽器です。  

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        ↑チェンバロ

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    ↑ピアノフォルテ(クリストフォリ製作)

....ちょっと。馬鹿にするのもいい加減にして頂けますとこと?どちらも同じじゃないですの。 そんな声が聞こえてきそうですね。確かに外見はそっくり(ていうかほぼ同じ)ですが実は二つの楽器は音の発音の仕方が大きく違うのです。

チェンバロは爪の様なもので中に張られた弦を弾いて音を出します。発音方法としてはピックで弦を弾くギターに近いでしょうか。それに対してピアノフォルテは弦をハンマーで叩いて(一応言っておきますが、トンカチじゃないですよ)音を出します。(下図参照)

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この左側の先っちょの丸いのが弦を叩いて音を出すわけですね。この基本的な仕組みは現在のピアノまで殆ど変わっていません。この仕組みを発明したことで、より音量の幅が広い「ピアノフォルテ」という楽器が生まれました。       

このピアノフォルテ、正確な記録は残っていないのですが、メディチ家が残した所蔵楽器目録から少なくとも1700年には製作されていたと思われます。現存するのは3台で、1720年代に製作された物がそれぞれニューヨーク、ローマ、ライプツィヒに所蔵されています。(因みにこれらの楽器を元にして河合楽器が作ったレプリカが浜松市楽器博物館に置いてあります。ご興味のある方は是非!) その後「1725年」にようやくこの発明がドイツ語圏内に伝わります。製作されてから25年以上経って、ようやくピアノフォルテは世に出たというわけです。

さて、突然ですが問題です。

あの有名な音楽の父「J.S.バッハ」の 生没年、 わかりますか?


正解は

1685-1750年

です。

あれ?って思いませんか。         

バッハ、ピアノフォルテ出来てすぐ死んじゃってるじゃん。

でもバッハってピアノの曲めっちゃ書いてない?

これはなかなか鋭い指摘です。実はバッハ、正確にはピアノ(フォルテピアノ)用の曲は一曲も書いていません。今ピアノで弾かれている曲たちは、全てチェンバロやオルガン用に書かれた曲たちなんです。                  

ただ皆さん、早合点してはいけませんよ。確かに一曲も書いてはいませんが、バッハ先生、ピアノフォルテを弾いたことはありました。クリストフォリの設計案を元にジルバーマンという人が制作したピアノフォルテを、ちゃーんと弾いています。しかし、響きは気に入ったものの高音部の弱さと弾きにくさを指摘し、その後殆ど弾かなかったと言われています。今やピアノコンクール等でも欠かせないバッハの作品が、実はピアノ用の曲ではないというのはなかなか面白いエピソードですよね。

少し長くなってしまいましたが、ピアノが誕生した歴史を垣間見て行きました。次回はいよいよ、ピアノが楽器の王様と呼ばれている所以を解き明かしていきたいと思います。 それではまた来週。さようなら〜。


コロンスタジオライティング部


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