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【HAMT】脳卒中の動作介助〜歩行編〜


こんにちは。”くっしー” こと櫛引翔太です。

これまで鍼灸師・学生を対象に、脳卒中に関する「姿勢・動作・予後予測」を特別ライターで担当しました。初めて脳卒中患者さんを担当した時の悩みを解決するアイデアをまとめています。

この度、HAMTの本ライターとなりました。
今回から新シリーズの記事を担当します。


シリーズ:「脳卒中の動作介助」

第1・2回「脳卒中の歩行介助」
歩行介助は何を気をつければいい?「転倒の予測」から「麻痺側に荷重を促す要点」を歩行のメカニズムから解説します。

第3・4回「脳卒中の立ち上がり介助」
なぜ立ち上がりでお尻が上がらないのか?「離殿に必要な条件」を理解しながら介護負担を軽減する介助方法まで解説します。

第5・6回「脳卒中の寝返り介助」
なぜ麻痺側への寝返りが難しいのか?「頭頚部・胸郭・骨盤の協調性」を理解し、脳機能の観点から効率的な動作の介助方法を解説します。

コロ「介助方法って多くありますよね?」
先輩「自立を促す介助が大切なんだ。」

民間の介助講習では「安全に介助する方法」が指導されます。限られた時間で介護サービスを提供するには効率的です。しかし、リハビリ視点では、どうすれば自立できるかを評価します。

機能訓練で、動作をどう介助すればいいのか?この疑問に対して、鍼灸・理学療法の観点から「自立を促す介助方法」をお伝えします。

平成30年から、鍼灸師も一定研修を受けることで機能訓練指導員になることが可能となりました。ADLの維持・向上のため鍼灸師が担う役割は今後大きくなります。普段の動作介助にリハビリの知識を応用させていきましょう。

第1回:「脳卒中の歩行介助」

【今回の内容】
まず転倒のリスク管理を学習します。バランスを崩しやすい方向を理解し、脳卒中患者さんは、感覚・運動の障害を伴い動作が努力的になりやすい傾向にあります。歩行介助を実施する前の体重移動の方法について理解することができます。

【今回の目標】
・転倒方向の予測ができる
・足部を意識した体重移動の介助を理解できる

【どの方向に転倒しやすい?】

先輩「脳卒中患者さんは歩行中、どの方向に転倒しやすいと思う?」
コロ「うーん。麻痺側かな??」

【疑問の解答】
麻痺側前方への転倒に気をつける

脳卒中患者さん34名の転倒研究で、麻痺側前方の転倒割合が最も高く全体の55%となっています。

【前方転倒:約55%の内訳】
・麻痺側の立脚中期が不安定 (33%)
・麻痺側下肢の振り出しで引っかかる (16%)
・麻痺側の立脚後期で膝折れ (5%)

「脳卒中片麻痺の基本動作分析」より引用改変

【転倒ポイント】
両側ともに片足になる瞬間が転倒しやい

まず歩行は大きく2つの相に分けられます。
1:立脚相:足が床に接地してる
2:遊脚相:足が床から離れている

先程の報告から、1:麻痺側下肢の荷重が最大になる時期、2:麻痺側下肢を前に振り出す途中で、前方に転倒する可能性が高いことに気をつけておくことが大切です。

脳卒中患者さんは麻痺側だけでなく、非麻痺側も片足立ちになる瞬間が課題となります。動作介助・治療では、これらを正しく理解し転倒予防に努めていくことが大切になります。

【訪問リハ経験談】在宅では、ベット柵や手すり、家の家具を利用することで、担当者が想像出来ないような方法で歩行を実施される場合があります。動線を確認し、家族様に介助方法をお伝えしても難しい場合は、福祉用具や住宅改修を視野に入れておくことも大切です。

【なぜ麻痺側へ荷重できない?】

コロ「麻痺側への荷重上手くできません」
先輩「力いっぱい床を踏んでもらってない?」

【疑問の解答】
力いっぱい荷重させようとしない

脳卒中患者さんは、「運動・感覚」両方の障害を伴っている場合があります。「もっと踏ん張ってください」という指示は注意が必要です。

感覚障害で、踏ん張っている感覚が認識できない場合、もっと努力的になって踏ん張ろうとする場合があります。結果、足がつぱってしまったり、膝折れが出現してしまう要因になりかねません。

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