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子供に手紙を書く無職

拝啓この手紙、読んでいる貴方は……から始まるアンジェラ・アキの名曲。私は親戚の子供に手紙を書く時、この曲を思い出した。

前回「無職フィーバーで脳汁ドバドバンゴwwwwww」と書いた(書いてない)私が親戚の子供に手紙を書く運びとなったのは、先月に遡る。

4月。実家でゴロリンチョしていた私のもとに、突如一本の電話が来る。何事かと思ったら、親戚の子供から私に「初音ミク」を書いて欲しいとの頼みの連絡だった。

親戚の子供、聞く所によると絵を描くのにハマっているらしい。そこで、自分の絵の参考にしたいからという理由で、絵を描くことしか脳みそがない事で定評のある私に話が回ってきたというわけだ。

私は「おいおい、こんな無職にそんな事を頼んで良いのかね?火を吹くぜ?」などと謎にドヤりながら、初音ミクの絵を描いた。

実際に親戚の子にあげた初音ミク

ぶっちゃけ、今の子供の考える初音ミクと、インターネット在住歴10年以上の元ニコ厨が考える初音ミクって違うのでは?と思い、ジェネレーションギャップに怯えながら描いた。でも、俺の初音ミクはこの初音ミクなんだよ!信じてくれ!若者よ!みっくみくにしてやんよ!(村の言い伝えとかする老人並みの感想)

そしてその絵をあげてしばらくしてから、親戚の大人伝いで子供から手紙が届いた。

手紙の中には、子供が描いたイラストやら塗り絵式のポストカードやら盛りだくさん。メッセージカードには「好きなボーカロイドを教えてね!」など色々書いてあった。

手紙をもらえて嬉しかったし、スゴイ微笑ましくてHAPPYで、口角の上がる無職。なにわろてんねん。

「これは返事を書かねばいかぬでござるなァ〜」とニチャアした私は、早速返事を書くことにした。

正直なところ、子供に手紙を書くのはほぼ経験がなかった。だから「なるべくいつものヒステリックな言語や哲学的言葉選びは絶対やめよう(あたりまえ体操)」と四苦八苦しながら書いた。

でも、何となく「学校とかいう環境はマジでクソだし人生は本当に上手くいかないことの連続だけど負けずに生き延びてね♡」って言いたすぎて、遠回しにそんなようなことを書いてしまった。少しは抑えられねえのかよコイツはよ。

ヒステリックな無職に手紙は向いていない。そう確信した瞬間である。

あと、一番悩んだのが「好きなボーカロイドを教えてね!」だ。これ、マジでかなり悩んだ。

「うーん、好きなボーカロイドか〜!波音リツか弱音ハクかな!w」

……などと書ける訳がなかった。インターネット在住、少しは自重しろ。

まあとにかく、子供に手紙を書くという機会はあまりないものだ。

子供に手紙を書くということで、「どうやったら自分の言葉や言いたいことを簡単に上手く伝えられるか」という点をとにかく考えた。こんなダメな人間から伝えられることはなんだろうと、必死になった。

あまりに手紙を書くのに力を入れすぎて、その後に手が震えて上手く絵が描けなくなったくらいだ。とても緊張したし、多分伝わらない事も書いてしまったと思う。

それでも子供に対して、言いたい事や伝えたいことが多いのだなと改めて思った。私みたいにはならないでくれ!っていう、そういう気持ちが強い。

とはいえ、子供がその後どういう風に生きていくかはその子供次第であるということも忘れたくない。子供は、大人の意思で動く道具でもなければ、大人の為の偶像でもないのだ。

私は教え導けるような立場ではないし、少し子供の話に乗ってあげることしかできない。だけど、少しでも私の描いた絵などが子供の心を弾ませているなら嬉しいものだ。

もしまた返事が返ってきたら、どんな言葉を子供は書いてくれるのだろう?どんな瑞々しい言葉をくれるのだろう?

無職のささやかな言葉へのアンサーが来ることを、私は心待ちにしている。








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