AKBの「恋愛禁止」って、ルールじゃないなら一体何なの?
その言葉はたびたび湧いてくる。
週刊誌にアイドルが撮られる。
ヤフコメでいっちょ噛みしたい人たちに叩かれ、「恋愛禁止だろ」「迷惑かけるな」「自覚が足りない」って言葉になんだか応援してる自分まで傷ついて、ハラハラしているうちに、卒業発表。
48グループのオタクをやっていると何度も目にしてきたことだ。
AKB48って恋愛禁止なの?
もともと、AKB48は「恋愛禁止」を掲げていた時期がある。らしい。
「恋愛禁止なんです。でも片想いはオッケーなんですよ〜。」
とメンバーが歌番組のトークで話しているのを聞いた記憶もうっすらある。
人気メンバーが週刊誌に撮られたら、グループ異動、研究生降格。そんな風にペナルティを用意し、エンタメの一つとして消化していたこともある。
そんな流れから、いつしかスキャンダルが撮られると、「ルールを破るな」「グループに迷惑をかけるな」と世間やファンから叩かれるようになった。
さて、「恋愛禁止」は今でも48グループのルールなのだろうか。
最近このことが話題にのぼり、AKB48の現総監督である向井地美音ちゃんがこんなツイートをしていた。
このツイートを見てると、オタクとして、ほんとみーおんごめんね…という気持ちになるのだが、それは置いといてどうやら、今のAKBでは恋愛禁止はルールではないらしい。
そりゃそうだ。
「一人ひとりの人権を大切にしていこうね!」「ポリコレポリコレ」という令和の流れの中で、人の感情や交流を禁止して、発覚したらペナルティを与えるなんてなんだか異質すぎる。
そんなことをエンタメとして消化するのだって、「え、なんか変じゃない?」と思う人が多くなっているのだろう。
でも「恋愛してほしくない」ファンは存在するし、AKB48は「自覚を持って活動することで成り立っている」らしい。
NMB48の渋谷凪咲ちゃんは11/27のワイドナショーで、「応援してくださっている方がたくさんいて、その人たちのことを思うと、自分で選ぶべき行動や言動は変わってくるんじゃないかな、と。」と話していた。
ここで言外に含まれる、「恋愛しない」とは、ルールじゃないなら一体なんなのか。
結論から言うと、私は、これは「ファンを悲しませたくない」というアイドルのやさしさだと思う。思う、というか、そう捉えたい。
ルールじゃなくとも、アイドルが恋愛していることを知れば、「ステージやお話会とは違う、プライベートの世界があるんだ」と寂しくなる気持ちを持つファンもいるだろう。
「夢を壊してほしくない」「アイドルだけに一生懸命でいてほしい」と思うファンもいるだろう。
そんなファンに、悲しい思いをさせたくない、と思えばこそ「今は恋愛しないでいたい」と話すアイドルが存在するのだろう。それは、ルールでも、約束でもなく、やさしさだと思う。
ラジオ「むかしゃべ」から考える、幸せなエンタメのあり方
私の好きなラジオ「#むかいの喋り方」で、パンサーの向井さんがこんなことを話していた。
この話はつまり、受け手と送り手が、相手を最大限に尊重しようとするところに、幸せなエンタメは生まれるんじゃないかということだと思う。
そしてその尊重の気持ちから出た言葉を、やさしさを、自分の武器、刀にして、相手の喉元に突きつけてはいけない、ということだと思う。
アイドルが、ファンの気持ちを慮って言った「応援してくださってる方がいるから」という言葉を逆手に取って、「そう言ったよね!?」と迫るファンになりたくないと私は思う。
アイドルには自由でいてほしいし、人生を楽しんでほしいし、彼女たちの幸せを一番に願いたいと思う。たとえ彼女たちが、今はファンをいちばん大切にしたいと話してくれても。
THE BLUE HEARTSが教えてくれること
この話の後に、向井さんは「なんか小難しく色々考えてますけど、結局シンプルなこんなことじゃないかなということで、こちらの曲聴いてください!」と、THE BLUE HEARTSの「人にやさしく」をかけた。
私は少しびっくりした。向井さんの話の間中、48グループの恋愛禁止のことを考えていた私(暇なオタク)だが、この曲は総選挙での結婚発表という特大恋愛スキャンダルを巻き起こした須藤凜々花ちゃんにまつわる、思い出深い曲だったからだ。
彼女は、結婚発表をし、オタクに世間にぶっ叩かれている時期に、「りりぽんのトップ目とったんで!」という自身の冠番組でこの曲を歌っていた。
エンタメの作り手と受け手、アイドルとファン、それぞれに生きていて、立場が違うから、どうしてもお互い自分の望んだ通りに全てが進むわけではない。
時には期待が外れて、がっかりしてしまうこともある。
でも、たとえ相手の期待に100%応えられなくても、「ガンバレ!」って気持ちは持っていたい。お互いに。
きれいごとかも知れないけど、利害が一致しなくても、意見が反対でも、アイドルが理想と違っても、みんなに対して「ガンバレ!」って気持ちは持っていたい。
想像でしかないけど、須藤凜々花ちゃんもそんな気持ちで歌ったんじゃないかと思う。想像でしかないけど。
みんながそんな気持ちでいるところに、幸せなエンタメが生まれたら良いなって、本気で思う。やさしさには、やさしさで返したい。
読んでくれてありがとう。
共感してくれたあなたにも、全然共感できないなってあなたにも。
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