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「世界ではじめて人と話した犬ステラ」クリスティーナ・ハンガー著

 犬のコーナーで見つけた本。著者はアメリカの言語聴覚士。

 人間のなかなか話すことが出来ない子どもに、ボタンを押すと、おもちゃ、好き、遊ぶなどの言葉が出るデバイスを使って、会話を教えていく専門家。

 その彼女がステラという犬を飼いはじめて、その犬に自分が指導している子ども達と同じようにして、言葉を教えていく。

 最初は、外という言葉で、そのボタンを押すと、外に出してもらい、排泄出来るようになる。

 その後、徐々に言葉が増えていって、犬の名前、飼い主の名前、好き、ノーなど増やしていくと、2つまたは3つの単語を合わせて、自在にコミュニケーションをとるようになっていく。

 それをSNSなどに動画で発信していき、注目されてメディアに取り上げられるようになっていく。

 犬と会話をしていると話しても、事情を奇異な目で見られることもなく…。

 本書では犬に言葉を教えていく方法をとても丁寧に説明してくれている。そのデバイスがあっても、やはり人が根気よく教えていく必要があるのだ。

 私も今、15才になる柴犬と、ずっとドッグスポーツや、アジリティー、訓練競技を続けてきたので、根気よく教えていけば、ちゃんと思い通りにコースを走ったり、良しと言うまで待てたり、言葉の指示で色んな事が出来ていく面白さを知っている。

 ただし、今は目と耳が悪くなってきたので、言葉ではなくて、手を叩いたり、ジェスチャーで、試行錯誤しながらも、色々コミュニケーションを取っているところ。

 また子犬のように一から教えていく作業は、やはり楽しい。シニアにあってそんな時間がまた作れるとは思わなかったし。

 そんな訳で、ステラのようにはもういかないけれど、犬も人間みたいに楽しいと思ったり、こうしたいと思って、日々生きているんだなぁと、実感した実話だった。

 著者のInstagramもあって、そこにはまだ元気なステラが、ボタンを押してコミュニケーションを取っている動画が見られて微笑ましい限りだ。

 うちの犬も、散歩の時に、自分はこっちに行きたいんだとしっかりアピールしてくるときがある。そういう犬の意思をちゃんと受け止めて、楽しく犬とのコミュニケーションを取りながらも、これから過ごしていきたいなぁと、しみじみ思った。

 多分どんな犬でも、ステラみたいに本当は話せる力はあって、それが言葉という形ではなくても、私達は犬の気持ちを感じられる瞬間があるのだと思う。

 犬を飼っている人には、多分、色々思うところが満載の本。