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『画文集 昭和の記憶 想画を読む』(長瀞小学校画文集刊行会)

わたくしたち編の『コロナ禍の生活綴方』(ほおずき書籍)の『発行にあたって』で以下のように書きました。

“生活綴方、生活画(自由画、想画)は、ありのままの生活と自己を見つめ、感じていることを、文章や絵で表現することです。大正時代に始まり、手本を書き写すだけだった作文や図画の授業に新風を吹き込みました。昭和にかけて盛んになり、戦後も実践されました。”

『画文集 昭和の記憶 想画を読む』の『編集を終えて』から。この“長野県の方”は、わたくしたちの実行委員です。

“本書の編集作業中に、長野県の方から「画文集」の問い合わせがあり、それがきっかけで想画教育の先駆けとなった山本鼎の「児童自由画運動」の一端である上田市神川小学校児童の作品をネットで見ることができました。「臨画」からの脱却を目指した、想画とは少し前の時代の作品ですが、意外にも写生画がほとんどで人物が描かれていません。
一方、長瀞小学校の想画にはおびただしい人物が登場し、当時の子どもたちを囲む生活が生き生きと描かれています。”

『画文集 昭和の記憶 想画を読む』の前に刊行された『画文集 昭和の記憶 山形県長瀞小学校児童の想画と綴り方による昭和の原風景』には、当時の東北地方は恐慌、農村危機の時代に直面し、教師たちは、日々のくらしや生活と深くかかわるなかで、生活への目、社会への目をすべての子どもたちに育てなければならないと考えていたことが書かれています。
“個性と自由を尊重し、人格を重んじ、統制・画一・形式の教育に抵抗した”(『信州の百年』信濃毎日新聞社)信州教育は、東北地方で「生活を見つめ」「生活から学び」「生活を建設する」という教育に発展しました。

『想画を読む』の『はじめに』から。

“昭和二年、佐藤文利先生の長瀞校赴任とともに学校全体で想画教育に取り組むようになりました。生活を主題とした絵を描く想画(生活画)により、子どもたちの心に生活の感動を表現させようとした…佐藤先生は、いつも「猫はニャーニャー、犬はワンワン動いているように描け」「詩のある図画を描け」と教えたといいます。
また、昭和五年に赴任し指導に加わった国分一太郎先生は、「ひとこころをこまかく、くわしく、深く、心もちがピュッピュッと血がはじけ出るように書けないかな」と指導しました。”

長瀞小の想画、生活綴方、“この2つを合わせると、当時の長瀞地区の生活が、手をとるようにわかります。”


アフターコロナのテーマは、「回復」です。地に足をつけた「回復」ができるように、想画(生活画)や生活綴方の今日的意義は大きいし、いまでは写真や動画という手段もあります。『想画を読む』での、当時の子どもたちのすぐれた想画、映像作家・浅野目憲一さんの解説にも学び、今に生かしていきたいと思います。


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