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軍事独裁政権下で何が起きているかを告発する女性たちの表現手段、チリのアルピジェラ

わたくしたち編の「コロナ禍の生活綴方」(ほおぞき書籍)の「発行にあたって」で、次のように書きました。

“南米チリでは、1973年から90年まで続いたピノチェト大統領の軍事独裁政権により、家族を奪われた女性たちが中心となり、自国の現状を世界に訴えるアルピジェラというパッチワークが広がりました。女性たちは共同作業で、アルピジェラを作りました。バラバラにされた生活をパッチワークで復元し、つなぎあわせることで癒され、生産と収入の場だけでなく、発言の場となり、生きている実感を与え、独裁政治に立ち向かう力となりました。”

本の読者の方から、次の感想もいただきました。
“「コロナ禍の生活綴方」拝読しました。このような言葉が本として残ることが貴重なことだと思います。最近、ずっとやってみたかった手織りを始めたんです。
これは入院中に作業療法で夢中になってやっていたものとほとんど同じです。「発行にあたって」の中のパッチワーク(南米チリのアルピジェラ)のエピソードとも何か重なりました。この間とても心に響いた言葉がありました。信州にルーツのある方に聞いた言葉です。
美しい里山の風景などに対して使われるようなのですが「営みが風景をつくる」だそうです。今のこの状況に関してだけではなく、日々心に何か思いつつ自分自身の営みを重ねることで出来上がったものを、後で眺めてみたいなと思っています。本を読みふと思ったことでした。”

チリのアルピジェラは、アップリケのタペストリーです。もとはチリ沿岸部イスラ・ネグラ地域の伝統手芸。軍事独裁下、政治弾圧で家族を失ったり、貧困に苦しむ女性たちがアルピジェラを用いて自分たちの日常生活を表現し、人権侵害に抵抗するネットワークを形作っていきました。

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長野市松代町の「詩と歌の家 大島博光記念館」に所蔵されています。



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