見出し画像

八ツ橋の小さな物語

 聖護院八ツ橋が好きだ。京都に行くと必ず京都駅で買う。聖護院の10個入りの小さな包みが好き。ニッキと抹茶の取り合わせは特に好きだし、季節によって桜味や栗など少し組み合わせが変わるのもいい。

 包装紙を開けると、小さな物語が一緒に入っている。季節によってお話も変わり、京都らしさと四季の風景でなつかしさもひとしお。もう、その小さなお話を読むために八ツ橋を買うくらい好きだ。

 手元にとってあるその小さなお話は全部で14枚、10種類ある。地味に集めたと思う。京都に行くことが何度かあったし、家族が行くと必ず買ってきてくれるから少しずつ集まった。

 下宿の大家さんが出てくる話がいくつかある。久しぶりに学生時代に暮らした京都の街のあたりを訪れると昔の大家さんとよく似た女性に出会い、どうやら娘さんだった、という初夏の話。一緒に栗を焼いて大家さんと食べているとリスが出てくる秋の話。なんだかほのぼのとする。もちろん、八ツ橋も登場するし、肉桂がほのかに香るような気持ちになる。

 最近よく見るのは春江さん、夏音さん、秋子さん、冬美さんの姉妹の話だ。主役は秋子さん。そっとタイムスリップしてなつかしい昔の古都の風景に身を置いたりする小さなファンタジー。四姉妹なんて憧れてしまうし、子ども時代の回想などもとてもすてき。作者は女性のような気がするし、男性かもしれないとも思う。

 聖護院八ツ橋総本店の社員さんが創作しているとのこと。なんて素晴らしい試みだろう。八ツ橋がつなぐさまざまな人間模様を、それに伴う静かな京都の風景を、小さな物語で伝えていく…。大いなる夢が感じられる。八ツ橋の持つ不思議ななつかしさに四季折々の彩りを加えている。このお話が、一人でも多くの人に届きますように…と願っている。

どれも心のこもったすてきなお話🌱

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?