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六甲おろし鳴り響く

  11月は物凄い勢いで過ぎて行った。なにしろ人生初のイベントでほとんどのエネルギーを使い果たしたのだ。野球だ。日本シリーズの第4戦、阪神タイガースの応援のため甲子園に行ったときのことだ。

 とにかく38年ぶりの「アレ」なのだから絶対に勝ってほしいし、妹家族のところが何枚かチケットが取れたというので、行きたい気持ちが爆発した。

 その日は午後まで仕事が当然ある日だった。早退すれば新幹線に乗れる。なんとか半休が取れることになった。翌日は午後から出勤すれば大丈夫…カードが揃った!

 応援のためジーンズとパーカーに着替えて東京駅。のぞみの自由席はもう新横浜で満席だった。え?まさかみなさん甲子園に行かはるの?いや、そんなはずはない。平日午後でも新幹線で移動する人は数多くいるのだ。そう言えば車内販売なくなったんだな…いろいろ考えてわくわくが止まらなかった。読書?そんなんできませんて。

 梅田駅で妹と再会。半年ぶりだ。しゃべりたおしながら阪神の地下でお弁当調達。準備は抜かりない。阪神電車もものすごい人と圧と熱気。甲子園駅に着くとグッズショップに行き、タオルを調達した。よし!

岡田監督の顔、入らなくて申し訳ない…

 レフト外野席からの眺めは広大で、照明も美しくて、盛り上がり方が想像をはるかに超えていた。試合の詳細はさておき、周りのおっちゃん、お兄ちゃんが(近くにはとにかく男性が多かった)おもしろくて、すっかりのまれた。そうや、さっき買うたタオルや…「そらそうよ」タオルを掲げて、それこそ自分が誰なのかも忘れて一体化して応援した。

遠かったけどこの時間も楽しかった!

 実はオリックスの応援もとても感動的だった。選手の応援歌は少し短調で、きれいにハモるのだ。ソプラノパート?とも聞こえる女性の声が聞こえて素敵だった。拍手もきれいにそろって美しかった。これも現地に行かないとわからなかったのでいい経験だった。双方ともお互いのファインプレーを讃え合っていた。なんだかみんなかっこよかった。

 最後、大山選手のサヨナラヒットで勝った、あの日だった。ほんとうにすごい試合だった。知らんおっちゃんとハイタッチして握手してもう大騒ぎだった。

 六甲おろしを歌ったらすぐ駅に向かうと人波にのまれずに帰れるということなのでそうした。妹宅でおしゃべりしたりして寝たのは1時過ぎていた。

 楽しかった。翌日は朝7時過ぎの新幹線に乗って東京に戻ってきた。仕事に行く服にかちっと着替えてしっかり職場に戻った。仕事はちゃんとしたけれど、脳内ではリアルな六甲おろしが鳴り響いて困った。

朝早い梅田駅

 阪神タイガースを全身で応援し、妹にも久しぶりに会えた、目まぐるしいあの一日。優勝したのは本当に讃えたい。23日に神戸、大阪のパレードで手を振っていたあの時の選手たち…本当に凛々しくて素晴らしかった。阪神を細く長く応援してきてよかった。初めて試合を見られてよかった。胸がいっぱいだ。どこにも属せないと思っていたわたしにも居場所があった…そんな気にさえなったのだ。

阪神おかき、美味!

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