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「寄り添う」とは この言葉の意味することを思索してみました

「寄り添う」って言う言葉、良く聴くようになりました。
特にここ数年、あちこちで、「○○に寄り添う」、という表現が出てきます。
ちょっとこの言葉、小理屈野郎はなんとなく引っかかるんですよね。
それについて今回は思索を行ってみました。

まずは言葉を辞書で調べてみました

よりそう【寄り添う】
[自五]
体がふれるほど、ぴったりとそばに寄る。
「寄り添って散歩する」

出典;明鏡国語辞典MX

辞書の定義は「そのまんま」という感じですね。
しかし、実際の世の中ではもっと広範な意味や文脈で使われていると思います。

寄り添うって言葉、なんだかうさんくさいような気がする。

この言葉がなんとなく収まりがいいし、このことばが思考終了の決めぜりふのようになれる(というか使った本人は思考停止に陥っていることに気づいていないことが多い)ので、広範な意味や文脈で使われているのではないかと思います。

つまり、あまりに人口に膾炙したため、なんとなく使っている人や記事が多いような気がするのです。

なんとなく使っている?

それでは、一般的には「寄り添う」、という言葉はどのように捉えられているか、ということをちょっとネットで調べてみましょう。
Google先生に聞いてみたところ、一番に出てきたのが下記の記事でした。

「寄り添う」ということばの解説から始まって、最後は寄り添えるひとになるための5つのコツまで書いてました…

他の検索結果にも当たってみましたが、どれも同じような構成でした。つまり、「寄り添う」ということばについて解説した後、いかに「寄り添える」ひとになるか、という構成でした。
そして女性雑誌にその特集が多そうです。

小理屈野郎が考えるに、みんなが「寄り添う」ことに必死になっている、ということ。そして「寄り添う」ためにマニュアルを読んでそれに従っているのではないかと言うことです。
そしてその裏には、このような行動をとっているから相手は評価してくれるよね、という隠れた(ことばはきついかも知れませんが嫌らしい)期待というか認証欲求の一種もあるのではないかと考えます。

確かに「寄り添える」と言うことは大事だと思いますが、個人的には一人にして欲しいことも結構あるし、寄り添ってもらったところで結局は自分で考えないといけないことも多いのではないかと愚考してしまいます。
また、「寄り添い」方も人によって千差万別だと考えます。
単に相手の価値観を受け止め、親身に話を聞き、様子を観察し、気配りを忘れない、とはいうものの具体的には色々なやり方があると思うのです。
相手が此方に話しにくいと思うかも知れませんし、何か見られたくないと思っているかも知れません。此方の方からアプローチしてもそれがうっとうしく感じることもあるかも知れません。此方の想像力で行動していても相手はその価値観で動いたり受け止めたりしているわけではないことは普段でも結構あるように感じています。

このようなことから個人的にはマニュアルで解説するようなものではないのではないかと考えます。
もちろん上記の記事などは寄り添い方の例としては有効(自分のやり方を紡ぎ出すワンステップになる可能性も十分あります)とは思いますが、それがすべてだとは思いません。

また、自分の行動を相手に押しつけることにもなりかねないですし、自分の行動を相手のあることを使って認証してもらおうと思うのもおかしい話だと思います。した方がいいと思うことをしたらいいし、それに対する評価はまた別の話だと思うのです。

これをいったら免罪符?

もちろん、個人的に納得するな、という文章や文脈の中で「寄り添う」という言葉を使っている場合もありますが、なんとなく、この言葉を使うと簡単に結論になるな、という感じを受けるものも結構あるような気がします。
仕事上でもちょっとしたトラブルなんかの時に、なんとなく対応しているときでも「寄り添い、傾聴した」みたいなことが記録に書かれていたりします。

ホンマに聴いてんのかいな?


と、ついつい思ってしまうんですね。上の文脈で言うと、多分話は聴いていると思うのですが、出てくる表現が紋切り型だからだと思うんです。
それと、本当に「寄り添い、傾聴」しているのならば、そのときの状況が記録の中には描写される(別に生々しくはなくてもいいから、その状況を想像できるようなものです)はずなのに、それが抜けているからかも知れません。
もし、そのようなことがあったらそれが問題解決の糸口になるかも知れませんので、記録には書くと思うんですよね。
そう考えると、適当に判断して、対応して、紋切り型の表現を使って記録を書いた、一応ちゃんと順序は踏んでいるので評価してね、という風に見えてしまうんでしょうね。

その上で、実際どうよ?

自分としては、この違和感を大事にしたいと思っています。
一見意外ですが時折ちょっとした違和感を感じることがあります。
それをうまく自分自身ですくい上げ、思索していきたいと思います。
今回感じたのは、「寄り添う」ということばを使うことを毛嫌いするのではなく、自分らしい「寄り添い」方を見つけ、できるようになれればいいなと思いました。

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