年に1本しか走らないバスに乗った話
京都には、年に1本、春分の日にしか走らない路線バスがある。
2021年3月20日、想像地図の人はこのバスに乗るべく早朝に出発した。
そもそもどこを走っている路線か
年に1本しか走らない路線バスは京都に複数存在するが、今回乗ったのは「京都バス45系統」。京都市の北の方にある「岩倉村松」から京都駅前までを結ぶ路線である。このバスは岩倉村松を6:30に出発して、京都駅前に7:25に到着する。
しかしこのために岩倉村松に前泊するのは現実的ではなかったので、このバスが経由する途中のバス停から乗ることにした。
また、他の系統のバスが停車せず、45系統のみが経由するバス停であれば、文字通りの意味でそのバス停には年に1度しかバスが来ない。(45系統の起点である「岩倉村松」は、他の系統も乗り入れているため「年に1度しかバスが来ないバス停」ではない)
山奥のバス停ではない
「烏丸下長者町」。このバス停は、45系統しか経由しないバス停の1つである。京都市バスにも同名のバス停があるが、上の写真のように2つのバス停は並んでいるものの3mくらい離れていて別のバス停である。
※「京都バス」と「京都市バス」は名前が似ているが全く異なるバス会社
想像地図の人は2021年3月20日、このバス停から45系統に乗車した。このバス停は京都御所の真横にある。写真でも分かるとおり、山奥ではない。街中である。そもそも、烏丸通。都会の真ん中である。
京都バスのウェブサイトによると、「毎年春分の日のみ、7:07」に到着することになっている。
本当に来るのか?
想像地図の人は不安になった。
「本当に来るの…?」
もっとも、ここは地下鉄の今出川駅と丸太町駅の中間付近だから、もしバスが来なくても帰る方法が存在しないわけではないのだが、このバスに乗るためにわざわざ早起きしたのだ。来てくれないと困る。そう思っている内に、到着予定時刻の7:07となった。
しかし、バスが来ない。烏丸通は一直線だから遙か向こうまで見通すことができるが、バスが来る気配がない。
もしかして年に1本しか走らないから、バスマニアが大挙して押し寄せた結果遅延したのだろうか。それともバスは来ないのだろうか。そう思っている内にバスがやってきた。
やはり混んでいた
8分遅れで到着したバスに乗り込む。
予想通り、バスは混雑していた。
年に1本、春分の日にしか走らない理由。それは「免許維持路線」である。バス路線を1度廃止してしまうと、復活させるためには複雑な手続きが必要となるから、最低限の本数だけ走らせているというのが、この路線が年に1本しか走らない理由である。春分の日にイベントがあるとか、そういう動機ではない。なお、京都バスにはこの路線の他にも免許維持路線が存在し、高野車庫から北山駅に向かう路線などがある。
従って、この路線を生活利用する人は(0とは言い切れないにしても)皆無と思われ、乗客の大半は年に1度しか走らない希少性の高いバス路線を求めてやってきた人々と言うことになるわけだ[要出典]。車窓から動画を撮る人もいた。
短い旅路
想像地図の人は起点からではなく途中から乗車したため、15分あまりでバスは京都駅前に到着した。
これにて今回の旅は終了である。
次にこの路線をバスが走るのは来年の春分の日。
年に1本しか本数がないので、乗り遅れにご注意ください。
関連リンク
・想像地図の人 ツイッター @koridentetsu
・京都バス株式会社 http://www.kyotobus.jp/
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