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半熟卵がとろっと溶け込む横手やきそば【秋田県横手市】

今回は前回の愛媛県西予市からのしりとりで、秋田県横手市の名物についてご紹介します。

横手市は秋田県の東南部にあり、人口は約9万2千人の比較的栄えた大きな街です。

横手市の夕暮れ

横手市の名物が今や全国でも有名となった横手やきそば
その歴史は戦後にまで遡ります。

横手焼きそばの歴史


戦後のまだ日本のどこも貧しい時代、横手市には多くの屋台がありました。
数ある屋台の中で子供達にも人気があったのがお好み焼きの屋台。
当時の横手市のお好み焼きは薄く焼いた生地を割り箸に巻き付けただけの簡単なものでした。
これがとても安く、子供達のおやつとしても親しまれていました。

そのお好み焼きを焼くのに使われていた鉄板で新しいメニューを作れないかと試行錯誤され考え出されたのが横手やきそばです。
安価でとても美味しく、あっという間に横手市民の中で広まっていきました。

何よりも焼きそばは鉄板さえあれば作りやすいことも、広まった理由の一つです。
当時は飲食店だけではなく駄菓子屋の一角でも売られ、中には民家の軒先でも売られていたようです。
そうして店舗数が一気に増えた横手やきそばは、横手市民のソウルフードにまでなります。


横手やきそばの特徴

横手やきそばの特徴は、通常の焼きそばに使用される豚バラ肉ではなく豚挽き肉を使ってあることと、福神漬けが添えられていること。
そして何よりも上に乗った半熟の目玉焼きです。

横手やきそばは見るからにボリューム感があり、半熟の目玉焼きがさらに食欲を促進させます。
麺は太めのストレートの角麺で、茹でられてもいるので柔らかくふっくらともしています。

上に乗った半熟目玉焼きを崩しながら麺に絡めて食べるのも良いし、目玉焼きはそのまま齧り付いても良いかもしれません。
ソースはウスターソースに各店舗がそれぞれのオリジナルソースを混ぜ合わせて使っているよう。
それにより横手やきそばの味はお店によって違っています

いろんなお店の横手やきそばを食べ歩きすれば、きっとあなた好みの味のお店が見つかるかも。

オシャレな雰囲気。半熟の目玉焼きがとても綺麗です。


横手やきそば四天王

横手やきそばのお店には毎年四天王が選ばれます。

横手やきそば暖簾会に所属している各店舗を覆面(公式HPでは覆麺と記載)の調査員が2ヶ月間かけて食べ歩きし、焼き加減やソースの味だけではなく値段や接客サービスなど様々な面から店舗を評価します。
その様子はまるでミシュランの審査のような雰囲気

そうやってまずは数多くのお店から上位10店舗が選出されます。
さらにその中で四天王決定戦が開かれ、4店舗まで絞られます。

結果的に選ばれた4店舗はその年の横手やきそば四天王を名乗ることが許されるのです。

選ばれたとしても名乗ることができるのは1年間限定なのもポイント。
決して永久的ではなく、次の年から味やサービスの質が低下してしまえばすぐに上位にも選ばれなくなります。
選ばれ続けるには毎年気を抜くことなく質の向上に努めなくてはなりません。
調査員が覆面なのでいつどのタイミングで来た誰が調査員かもお店からはわからない。調査員にだけ特別に高待遇をするようなこともできないのです。

横手やきそばを街おこしにしようとしている横手市の本気度が伺えます。
名物グルメを本当に美味しいものにして全国に広めようとされているように感じます。
市と各お店の絶え間ない努力によって横手やきそばは今では全国的にも有名な名物になったのではないでしょうか。


たっぷりのソースがよく絡んで美味しそうです


終わりに

横手市が戦後の復興する中で生まれた横手やきそば。
「焼きそば」と漢字表記ではなく「やきそば」とひらがな表記なのは、他地域との差別化や街の名前を覚えてもらうためなどの狙いがあります。

特別珍しい料理ではなく、材料も他所にもあるようなもので作られています。
ですが、そのやきそばの質を高めて本当に美味しい名物にしようとされています。

ぜひ横手やきそばが気になる方は横手市に足を運んでみて様々なお店の横手やきそばを食べてみてください。
決して1店舗だけでは全てを知ることができないほど、広く深い世界がそこにはあります。


次回は横手市からのしりとりで、「て」から始まる市とその名物についてご紹介します。
ここまで読んでいただきありがとうございます。

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