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居心地の良いカフェ  BrouwnieS&Downies ブラウニーズ&ダウニーズ

こんにちは、コーフボールママです♪

今日は12月26日、クリスマス2日目です。オランダでは、24日のクリスマスイブ、25日のクリスマス初日そして26日のクリスマス2日目にお祝いします。25日が一番大切な日で、この日に国王のクリスマススピーチが放送されたり、家族や親戚、友達と一緒にお祝いします。25日だけでは奥さん側の家族と旦那さん側の家族とお祝いするのは大変なので、例えば25日は奥さん側、26日は旦那さん側の両親の家でお祝いする、という感じで約束したり
します。毎年25日に奥さん側の家族ばかり行っていると、旦那さん側の家族が「何でうちは毎年クリスマス2日目なんだ!」と文句を言いだして、喧嘩になるという話もよく聞きます。それを避けるために、25日の昼に奥さん側、夜に旦那さん側の家族を訪問したり、年ごとに初日か、二日目か順番に替えて訪問する家族も多いですね。私の場合は、家族が日本にいるので25日に義理の両親を訪問するだけで良いのですが、結構このクリスマスの親戚訪問が面倒になってこの時期に敢えて旅行に出かけたりする人もいます。
どこの国に行ってもここら辺の親戚付き合いというのは同じですね。

さて、今回はオランダでビジネスと福祉をマッチングして大成功しているブラウニーズ&ダウニーズの話を書きたいと思います。

ブラウニーズ&ダウニーズとは

2010年設立 2021年現在オランダで52店舗ベルギー1店舗展開しているフランチャイズ制のランチルーム 居心地の良い空間で質の高いお食事と飲み物を知的障がいを持つ店員さんがフレンドリーなサービスで提供してくれてる。現在オランダ全国で大人気。

創業の経緯

創業者のThijs Swinkels(タイス・スウィンクル)氏がスポーツ専門学校に通っている時の研修先で体育教師として特別支援学校に行くことになりました。研修に行く前は乗る気ではなかったのですが、初日から生徒たちの愛らしさに心を奪われて、他の仕事には就きたくないと決心し、卒業後、学生時代にアルバイトでコックとして働いていた知識と経験をと特別支援学校で働いていた知識と経験を生かして、2010年に知的障害者が働くランチルームをVeghel(フェグヘル)にオープンしました。既にオランダには同じように知的障がい者が働く場所はありましたが、スウィンクル氏は同業他社よりも高い質の食事とユニークなサービスを提供する事で、障がいを持つ人たち自身が成長するチャンスを得られることを目的にしており、質の高さに重きをおいています。

1店舗目が大成功し、子供たちがブラウニーズ&ダウニーズで働いて欲しいという保護者と介護者の希望が相次ぎ、2012年に2店舗目をオープンし、その後、フランチャイズ方式で全国に展開しています。南アフリカでも1店舗オープンしていましたが、コロナ禍で今は閉店しています。

特別店員

知的障がいを持つ特別店員の勤務時間数はフランチャイズオーナー、本部の4名の成長支援ケアアドバイザーによって決められます。ブラウニーズ&ダウニーズでは、特別店員も一人前のスタッフとして扱われているので、希望者は非常に多いです。そのような職場環境が保護者と介護者の心にも響き、障がい者の成長も促しています。もちろん、社会的インパクトを可能な限り高めるためにも特別支援学校とも協力をしています。

オランダの介護福祉制度の一つにPersoonsGebondenBudget(個別ケア予算)というものがあり、これは、福祉サービスの受給者個別のニーズとケースに合わせて給付金が決まる、というものです。保護者や介護者が給付金から住居、福祉サービス、雇用場所を購入する事が出来て、お金をどこに配分するのかは個人で決めます。この給付金の一部がフランチャイズオーナーに支払われ、そのお金が特別店員の指導と教育に充てられる仕組みになっています。

カペレ・アーンデン・アイゾル店舗 
https://browniesanddowniescapelle.nl/

ブラウニーズ&ダウニーズ カペレ・アーンデン・アイゾル店舗

南ホーランド州ロッテルダム市の隣町にあるCapelle a/d Ijssel(カペレアーンデンアイゾル)店
2018年からオープン カペレ・アーンデン・アイゾル市のショッピングセンターとメトロの駅があるトップロケーションにあります。

営業時間:月曜日10:00-17:00 火曜日から土曜日まで9:00-17:00 日曜日閉店            

2021年南ホーランド州とカペレ・アーンデン・アイゾル市で
Horeca(ホテル、レストラン、カフェ)賞ランチルーム部門で2位のブラウニーズ&ダウニーズ ゴーダ店に16点も差をつけてグランプリ受賞 

2019年に南ホーランド州とカペレアーンデンアイゾル市の一番楽しいレストラン賞受賞
カペレ・アーンデン・アイゾル店オーナーであるヨランダ・オップシュホールさんご夫婦にはダウン症の息子さんがいて、図書館の横が飲食店賃貸に出ていたので、知的障がいがある人達の働く場を作るためにブラウニーズ&ダウニーズをオープンする事にしました。カフェ名はダウニーズと入っているけれど、ダウン症を持つ人だけでなく、様々な知的障がいを持つ人が働いていて、2019年には12人の特別店員として働いていました。図書館にケータリングサービスをしたり、図書館とも良い協力関係が出来ていて、特別店員さんたちと働くのはとても楽しく、毎日プレゼントを受け取っているようなものだ、と2019年にあったラジオのインタビューで答えていらっしゃいました。

ブラウニーズ&ダウニーズでコーヒーを飲んだ感想

ブラウニーズ&ダウニーズでお茶をしたのですが、私が行った時は平日のお昼過ぎにも関わらずテラス席は殆ど満席。お客さんは福祉サービスをサポートするために来ている感じでは全くなく、美味しいお食事と飲み物を楽しんでいる感じでした。
私はカプチーノを注文しようと、食事を給仕していた店員さんに向かってお願いをしました。「自分は注文を取らないので、しばらくお待ちください。」と言われ、暫く待った後、タブレット端末を持った特別店員さんが補助の方と一緒に注文を取りに来られました。カプチーノを運んでくれたのは別の特別店員さん。カプチーノも一緒についてきたケーキも生クリームもとても美味しく、いつもこのお店が混んでいる理由がこの美味しさだと納得した。値段も2.70ユーロ(約350円)とお手頃価格で、この質でこの値段はお得だと感じました。他のメニューを見ても他のランチルームと同じぐらいの値段で、美味しそうです。

カプチーノ

 

図書館と同じ建物の中に入っているので、コーヒーを飲みながら雑誌を読んでいる人も多く、非常に居心地の良い雰囲気です。2018年にオープンした時に、初めてブラウニーズ&ダウニーズの名前を聞いた時は、なぜこのような直接的な名前なのか、福祉的職場としてアピールをしているのだろうか、特別店員や保護者の方はどのようにと考えているのだろうか、と考えましたが、同じことをオーナーのオップシュホールさんもインタビュアーから聞かれていました。

彼女は別に名前はOKだと思うけど、仰っていたので3、お子さんがダウン症をお持ちのお母さんが別にOKだと思われているんだ、と、私には少し新鮮でした。私自身にダウン症の子供がいたとして、「ダウニー」という言葉が罵る言葉として使われている状況で、ダウニーズという名前がついているお店に我が子が働いているとしたら、もっと別の名前がなかったのかな?と感じるだろうと思ったからです。でも、実際に私に知的障がいを持つ子供がいたとしたら、当然全く違う感じ方をしたと思いますので、このオップシュホールさんのお店の名前はOKという返答は、なるほどなあ、と違う見方を見させてくれました。
確かに、ダウニーズと店名で知的障がいをお持ちの方が働いているカフェだろうとハッキリ分かる方が、お客さんの方も心構えが出来て良いと思いますし、忙しい時間帯は少し手が回らないような場面あるでしょうから客側の期待値と寛容さを前もって合わせておくのは大切だと感じました。

オランダ語での罵り言葉


オランダ語では、罵る時になぜかある特定の病気の名前を使います。
結構前は「チフス」という単語も聞きましたが、圧倒的に一番頻繁に使われるのは、癌という意味の「カンカ―」という言葉。なぜ故に、癌という病名が罵るための言葉になっているのか私もさっぱり分かりません。誰が始めたのかいつからなのかもちょっと調べてみましたが、分かりませんでした。ちょっと前までは「エボラ」という単語も結構使われていましたが、最近では聞きません。オランダ対がん協会も「カンカ―」という言葉を罵る際に使わないようにと努めていますが、全く減る様子もありません。

「ダウニーズ」という言葉も、たまに「お前、ダウニーかよ!」みたいに罵っている若者もいますので、ダウニーズと名前をつけるというのは、勇気があるというか、かなり踏み込んだ先を行っている名前だな、と私は最初は感じました。今は、逆にブラウニーズ&ダウニーズによってダウン症や知的障がいを持つ人々か日常生活で接していれば「ダウニー」という罵り言葉もなくなるような気がします。

オランダは福祉国家だと言われていますが、障がいを持つ人達は小さな頃から特別学校に通っているので家族や知人に障がいを持つ人がいる以外は日常的に接する機会が殆どありません。18歳で学校を卒業すると、成長するための学ぶ場がない、という事も創業者のスウィンクル氏がブラウニーズ&ダウニーズを立ち上げた理由の一つです。

福祉的職場としては、梱包作業所等で働いている人が多いようですが、それも近年では政府からの助成金が削減されて閉鎖になる場合が多く、ブラウニーズ&ダウニーズのように助成金に頼らずにビジネスモデルでやっているような店は私が知る限りは他には聞いた事がありません。オープンから3年目を迎えたカペレ・アーンデン・アイゾル店舗に行って感じたのは、福祉サービスのランチルームでは全くなく、楽しい雰囲気で美味しい食事と飲み物を、やる気のある店員さんが給仕してくれる居心地の良いランチルームであるという事でした。

障がいがあってもなくても、各々の能力が生かせる場で周りにも認められて、楽しく仕事出来る場所を作ると言うのが皆の、そしてひいては社会の幸せに繋がるのだとろうと思いました。

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