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お茶の思想を社会に実装する(株式会社『TeaRoom』代表取締役・岩本涼)

わたしは、わたしらしく。
ウェルネスプロテイン『KOREDAKEは、
人の健康と地球環境にやさしいブランドを目指しています。

このジャーナルでは、
私たちのプロテインに関わる生産者の方々をはじめ
ウェルネスやサステナビリティなどの領域で活動されている方へのインタビューを通して、
健康や環境について知るきっかけ、心と身体の「わたしらしさ」を取り戻すきっかけをお届けしていきます。

ゲスト:岩本涼(株式会社『TeaRoom』代表取締役)
「対立のない優しい世界を目指して」を掲げ、2018年5月に『TeaRoom』を設立。裏千家での茶道歴は15年を超え、現在は「茶の湯文化 × 日本茶産業」の切り口で幅広く活動中。

インタビュアー:yomDAKE編集部
『KOREDAKE』が大好きな3人(編集長・デザイナー・管理栄養士)で構成。女性が「キュン」とするウェルネスな情報をお届けします。

緑茶は生産国の特権

──今月のテーマは「プロテインと和」。今回は、KOREDAKE 初のコラボフレーバー「抹茶」発売記念として、コラボ相手である株式会社『TeaRoom』代表取締役の岩本涼さんからお話を伺います。

岩本:こんにちは、岩本です。僕が代表を務める『TeaRoom』は、お茶をしつらえや体験として、様々なプロダクトに応用する会社です。なので『KOREDAKE』とのコラボは、お茶をプロテインに応用する新しいチャレンジとして、とても楽しみでした!実は海外では、お茶を飲料としてではなく、エナジードリンクとしての成分や色味、スパイスとして活用する流れも生まれています。そういった意味でも、コラボフレーバー「抹茶」がお茶の魅力に気づく新しいきっかけにもなって欲しいですね。

──ありがとうございます。早速ですが、今回のコラボフレーバー「抹茶」について教えてください。

岩本:静岡県の丁寧に育てられた茶葉をブレンドした抹茶です。味作りのポイントは、どうすれば上質な甘さの中に苦味を感じることができるようにするかです。加糖して甘くすることもできますが、とてももったいない。自然本来の甘さを保ちつつも苦味をどのように再現していくのかを考え、数種類のお茶の中から、この抹茶を選んでいます。

──実際の試飲に立ち会ったのですが、とても美味しかったです。『KOREDAKE』としても、続けやすい美味しさを大切にしているので、甘さの強いフレーバーにはしたくありませんでした。ちゃんと苦味を感じることができる「抹茶」が実現できたと思っています。

岩本:和食がユネスコの無形文化遺産になってから、世界でお茶の文化が急速に広まっています。ちなみにお茶と言っても、基本的に全世界では紅茶が主流です。日本人がお茶と言われて想像する緑茶は、日本や中国のようなアジアの生産国でしか飲まれていません。それは緑茶が、茶葉を摘んだらすぐに湯がいてしめて、甘みを残した状態で届ける生鮮食品だから。もちろん今は、冷凍加工して届ける技術もありますがどうしても非効率なので、熟成可能なお茶である紅茶や烏龍茶が世界的には流行っているんです。

──日本人の特権だったのは知りませんでした。

岩本:そうなんです。だから、流通や生産の関係で、どうしても味の乗ったお茶を作れない国では「香り」を追加するフレーバリングの技術が発展してきました。例えば韓国では、お茶は「香り」を楽しむものといわれるほど、お茶を価値のある商材として自国で生産する工夫をしているんです。

──どうして世界はそれほどお茶に注目しているのでしょうか。

岩本:お茶の「美味しい」というプロダクト的な価値と合わせて、体験としての思想的な価値がヒットしています。アメリカでは、富裕層が「デジタルデトックス」の一環としてお茶を取り入れ出しました。日本人は「デジタルデトックス」を、SNS中毒者がSNSを手放すという文脈で使いますが、本来は生活が全てデジタルツールで効率的になっている富裕層が、余った時間でデトックスするという文脈で使われます。食べなくても死なないけど飲まないと死ぬと言われるように、人類の生命活動にとって”飲む”という行為は最も大切。そこで、体験としての思想的な価値を持つお茶が活用されているんです。

──お茶の思想的な価値とはどういうことでしょうか?

岩本:例えばヨーロッパでは、自分が扱うモノからはゴミを出さない思想を持つ「ヴィーガン」が増えています。彼らはお茶を飲む時も、土でできた急須に入れて、余った茶葉はサラダにかけて食べたりする。お茶も同じように、単純に飲むだけではなく、相手へのもてなしを大切にするという思想のベースが価値として広まるのではないかなと思うんです。

──日本人はお茶が身近すぎるあまり、お茶の思想的な価値に気づいている人が少ない気がします。

岩本:僕は多くの日本人が潜在的には気づいていると思うんです。ただ、顕在化が遅いだけ。そもそもお茶のような文化と呼ばれるものは相対的なので、他と比べた時にどの点でいいのかということに気づかなければ、魅力が伝わりません。その点で移民国家のアメリカは、ある文化に対して多様な意見が生まれやすく、相対で比較する場面が多く出てきます。一方、日本は単一民族の国家で相対できる環境ではないですよね。もっといろんな人が日本社会に入ってくれば、日本文化の良さが顕在化してくるのではないでしょうか。

「お茶」から学ぶこと

──岩本さんは茶道を始めて16年目に入ったと聞きました。お茶を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

岩本:テレビで茶人を見て「かっこいい」と思ったのが始まりです。元々、学校があまり好きではなかったので、お茶室は逃げ場でもありました。お茶室では人間になれた気がしたんです。あとは「自立とは多方面に依存すること」という両親の教えがあったので、学校だけのコミュニティに依存するのではなく、学校にもお茶室にも依存することで、どちらかが潰れてもOKな状態を作っていました。だから忙しくてもお茶室には通うし、実は空手教室にも通っていて黒帯を持っていたりします。学校に依存しがちな子供が多い中で、複数のコミュニティに小さい頃から依存できたことはすごくラッキーでしたね。

──茶室ではどのようなことを学ぶのでしょうか?

岩本:基本的には「相手へのもてなし」について学んでいます。よく「お茶は何から始めればいいのか」という質問をいただくのですが、まずは相手のためにお茶を入れてあげようとすることから始まるんです。相手の状態を観察して、状態に合う香りや味のお茶を入れます。そして、そのように相手を思うためには、まずは自分自身が内省する必要があるんです。お茶室では、内省と相手へのもてなしをリンクしながら、色々なものに向き合っています。

──入れていただいたお茶、とても美味しかったです。岩本さんは最近、どんなお茶を飲んでいますか?

岩本:烏龍茶が多いですね。僕は日本の緑茶は、20年後には嗜好品になっている気がしています。それは世界的に緑茶に含まれるカテキンやカフェインなど刺激の強い成分を排除する動きが加速しているからです。そんな時、比較的刺激が少ない烏龍茶を香りづけされたものが流行するんじゃないかなと思っています。会社としては、最近だと国産のウイスキー樽で香りをつけた紅茶のプロジェクトに携わっていました。年間のウイスキー消費量が低い女性をターゲットにして販売したところ大人気。女性がウイスキー自体は求めてなくても、ウイスキー的な体験を求めていることに気づくことができました。

──ウイスキーとお茶のコラボも面白いですね。そのようなアイデアはどうやって思いつくのでしょうか?

岩本:僕たちは静岡に農業法人をたてて製造もやっているので、周りの生産者からの声を受け取りやすいんです。ウイスキー樽の時も「余っているんだけど、何か活用できないかな?」というお声がけを、ウイスキーを製造している方からいただいて、プロジェクトが始動しました。

そもそも日本は業界を超えた知恵の共有をもっとするべきだと思います。例えば、コーヒーの原料であるカカオはお茶と同じで、ローストの技術を使って製造します。それぞれの業界で最大限深めたロースト技術の知恵が、業界の壁を超えて移動できないのはもったいないですよね。その壁を壊していく取り組みとして僕たちは、お茶農家だけではなく、ウイスキーや日本酒製造の方、環境活動家や機械メーカーの方々との意見交換を欠かしません。また、オープンイノベーションが起こるように工場は誰でも活用できるようにしています。

──製造から販売まで担うということが『TeaRoom』の掲げるサステイナブルな生産体制に繋がっているのでしょうか?

岩本:その通りです。僕たちは特に事業的な持続可能性を意識して活動しています。今の社会では、大量に売り切る商売をしている企業が多く、そうすると結局は農家のような生産者が疲弊してしまいます。その結果、国が保護産業として守り続けていかなければならない存在を作ってしまっているんです。そこで僕たちは、自分たちで製造から販売までを担うことで、売り切るだけでは終わらない事業体制を作っています。

──具体的にはどのような取り組みを行っているのでしょうか?

岩本:例えば、耕作放棄地の改善も事業として取り組んでいます。社会貢献的な意味合いもあると同時に、耕作放棄地が増えるとお茶の製造ができなくなってしまうので、製造を担っている僕たちにとっても死活問題です。
ちなみに、耕作放棄地で栽培された茶葉は、刈り取るにはブルドーザーが必要な位、とても硬い。そこでお茶の幹を活用できるビジネスを考えることで、耕作放棄地に価値が生まれます。お茶農家は基本的に新茶の季節である4-5月にしか活動しないので、空いた期間で改善を繰り返して、事業的な意味でサステナブルな体制作りに取り組んでいます。

──根本的な解決をしているということですね。そのように「持続可能」な事業にしていく中で、大変だったことはありますか?

岩本:そもそも日本におけるお茶の製造は、事業継承や事業承継という形で受け継がれています。なので、お茶の事業を始めるためには、まず地元の繋がりや信頼を作って、工場を譲り受ける必要がありました。基本的に工場は5年稼働しないと油やほこりで潰れてしまいます。停止する直前に「譲るよ」と言ってもらえるまでが、とても大変でした。でも、最も弱っている部分から直さなければ、業界全体の再編ができないと思ったんです。

──『KOREDAKE』もいつか大豆から作りたい...!

岩本:『KOREDAKE』も早くから環境配慮のパッケージやオリジナルスクープの同梱など、独自の活動に注力していますよね。もちろんどの取り組みも素敵だとは思うのですが、ぜひ構造のサステナブル化についても『TeaRoom』と一緒に考えてみて欲しいです。あとは、自宅消費型だからこそ『KOREDAKE』を飲む体験の設計が大切。ユーザーさんに届いてからの導線を適切に情報として共有することができれば、日本の食品会社の中で突き抜けた存在になるのかなと思います。

──体験をどれだけリッチにできるかですね。『TeaRoom』は今後、どんなブランドを目指していきますか?

岩本:まずは、お茶の思想を普及させたいです。茶室という空間では、自分と向き合う「内省」や、他者と向き合う「対話・おもてなし」や不特定多数と向き合う「茶会」が行われています。どれも対象が違うだけで、お茶の思想である「向き合う」という精神性を大切にしています。お茶で大切にされていることを意識すると、ギブする行為(=相手のために何かをしてあげる行為)が日常的に増え、優しさを目にする回数が多くなり、結果的に人の幸せに繋がると考えています。

──でも、誰かのために何かをするのって、自分が保てていないと難しいですよね。

岩本:自分と向き合うことが難しい場合は、相手が何を思っているのか一度ゆっくり考えてみるのがおすすめです。それは、他者を通じて自分を知ることができるから。茶道に限らず日本の「道」はほとんど相手のためにしたことが自分のためになるという思想がベースなので、ぜひ、自分と向き合う時の手段として活用してみてください。

──本日は貴重なお話をありがとうございました。

『KOREDAKE』は、女性が1食に必要な31種類の栄養素をたっぷり配合した完全栄養プロテインです。

動物由来の原材料を含まない"100%プラントベース"で、大豆由来のタンパク質をはじめ、日々の食事で不足しがちな、たんぱく質・食物繊維・26種のビタミン&ミネラルなどの栄養素を配合。環境配慮のパッケージとスプーンへと改良し、サステナビリティを追求していきます。

心と身体の健康の先の自分らしさの実現をサポートする “ウェルネスプロテイン” として、安心安全な商品開発を追求し続けてまいります。

『KOREDAKE』WEBはこちら▶️ https://koredake.co.jp/


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