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イライラする メガネ【ショートショートnote杯】

最初から、やぼったい彼女のメガネにはイライラしていた。
強い度で歪んだレンズごしでは、いまいち瞳が見えないから。

はじめて会ったときあたりの、様子をうかがう目線が嫌いだった。
しびれを切らして無理やり覗き込んだ彼女の目が、存外きれいでそっぽを向いた。

なにを言うでもなく僕を見る彼女の視線には、あまりいい気分はしなかった。
かすかに浮つく僕の気分の、その理由がわからなかったから。

好きなことを喋っているときの目は嫌いじゃなかった。
普段もそれだけ喋ればいいのにと、口に出すことは一度もなかったけれど、黒鳶色の瞳はそんなときだけよく見えた。

最後にほうった、僕の一言で俯いた彼女の目は見えなくて。
濡れた分厚いガラスが妙に頭から離れなかった。


彼女の瞳に映った僕が、まっすぐに見返してくる。
数年ぶりでも変わらず僕を見てくる目は、でもあのころとは何かがちがって。
彼女はひどく華やかになっていた。
あの目と僕を隔てていたレンズはもう、ない。

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以上 407字。垢抜けたらメガネをはずすって風潮、好きじゃないし嫌いだよ!

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