口腔ケア≪重度障害児子育て≫
いつも≪重度障害児子育て≫と書いているが、息子は重度心身障害児だ。
『口を開けておく』ということが、そもそもできない息子に歯磨きをすることは私にとってとても難しいものだった。
口は過敏な場所なので、口に何か入れようものなら噛んでしまう。
それがどんなに硬いものだろうが関係なく、とにかく必死で噛む。
噛んでしまったことに驚いて、さらに緊張が加わりもっと強く噛む、という悪循環まで起こる。
変な場所で噛みこむと出血もするし、歯がかけてしまわないかと心配になるほど強く噛むこともあった。
とにかく歯ブラシを噛まないようにささっときれいにしているつもりだが、本当にきれいになっているのか心配だった。
そんな私を助けてくれたのが、訪問の歯科医師と歯科衛生士さんだった。
週に1度家を訪問し、歯の状態を歯科医師が口腔ケアを歯科衛生士さんが行ってくれる。
その時に初めて歯ブラシにこだわらなくても良いことを知った。
口腔ケアスポンジという、歯ブラシのブラシ部分がスポンジになっているもので、紙軸のものもあり、プラスチック軸よりもさらに柔らかいため、もしも噛んでも怪我をすることが少ないという。
口腔ケアを教えてもらうにつれ、「歯」をきれいにしなくてはいけないと必死だったが、「口腔」をきれいにすることを意識するようになった。
歯だけではなく、頬の内側、歯茎、上あご、舌などを本人が嫌がらないタイミングで声かけをしながらきれいにしていく。
私が少しずつ理解をしていくように、息子も口の中を触られることに慣れ、また口腔ケアをした後は口の中がすっきりして気持ちが良いことに気づいた様子だった。
もちろん今もたまには口腔ケアスポンジを噛んでしまうこともあるが、「あ、嚙んじゃった」とばかりに自分から口を開けて噛んでしまったものを離せるようにまでなった。
知識と正しい口腔ケアのおかげで、息子の歯は1本も虫歯がない。
きれいだねといつも褒めてもらえる。
息子も私もとても頑張ってそこまでに至っている分、2人でとても嬉しい。
今では、「歯磨きしようか」と声をかけると息子はにっこりして口元を少し緩めてくれる。息子の中で、歯磨きは嫌なことではなくなった。
私も歯ブラシを噛んだら怪我してしまうとビクビク緊張していたのが、「きれいにしようね」と楽しく声かけができている。
そのうえ、口腔をきれいに保つことで体調を崩すことがとても少なくなったと感じている。口の中を清潔にすることは本当に大事なのだと気づかされました。
丁寧に口腔ケアを教えてくださった歯科医師と歯科衛生士さんにこの場をお借りして心よりお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
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