ハマス・イスラエル衝突の始まった今、「ガザ素顔の日常」を見て思ったこと
おはようございます。エンコミュニティラボの山中です。普段は宮崎県延岡市で仲間と映画の上映会をしています。
昨日こちらの映画を見ました。
ガザとは、縦40キロ横10キロの狭い場所にパレスチナ人約220万人が暮らしているパレスチナ自治区です。イスラエルが壁で囲み封鎖したため物資は不足し、貧困がひどく、移動の自由もなく「天井のない監獄」と呼ばれています。
そんなガザ地区。先入観で「廃墟」「難民」というイメージだったのですが、映画を見始めてしばらくは、綺麗な町並みや、美しいビーチと笑顔の元気な子どもたち、コーヒースタンドでコーヒーを飲んで仕事にかかるタクシードライバーという、私たちの日常と近いものを感じました。
沢山の弾ける笑顔を見て
「あれ、ガザって閉鎖されてるだけで、もしかして日常は似たようなものなのかな?」
と一瞬錯覚しました。
しかし、見続けていくと、決してそうではない事実が現れてきます。
綺麗な海も5キロ沖合に出るとイスラエル軍に逮捕され、漁師が満足な量の魚を獲るのも難しいこと。
映画に出ていた屈託のない子ども達は実は難民キャンプに住んでいて、全員痩せていて、毎日お腹をすかしてること。
タクシードライバーとして毎日一生懸命に働いても負債がたまる一方で、それを解消するため自主的に20ヶ月刑務所に入っていた。そして刑務所には有名な実業家などが同じように負債を払えず刑務所に入っているという話などを知ります。
「ガザの日常」があまりにおかしな事に気づきます。
若者の失業率は六割を超え、大学を出ても就職先がない。8割を超える人が何らかの人道支援に頼って生きているということです。
何より胸を打たれたのは、国境付近に集まる若者たち。
彼らは国境フェンスを守るイスラエル兵士に投石したり、廃タイヤを燃やしたりして精一杯の抵抗を行います。
まるで「自分たちはここに生きているぞ」と必死に表現しているみたいでした。
しかしその抵抗はあまりに虚しく、攻撃に対して銃で撃たれ、手や足を失うような大怪我をする若者たちが後を絶ちません。
「天井のない監獄」と呼ばれるガザの中で生まれ育ち、未来と希望を奪われた日常の中、溜まった怒りがフェンスに若者を集まらせていました。
一方で、彼らを毎日搬送し、治療し続ける救急隊員も、忙しくて家族に会えない日が続きます。
先行きも見えない、仕事もない、飢えと絶望と怒りを持て余しフェンス前に集まる若者を必死で治療し、死を看取り、やりきれない涙を何度も拭っている姿に胸がつまりました。
「5分後に何が起こるかわからない」
そんなガザの日常は以前に見たシリア紛争のドキュメンタリーの「アレッポ最後の男たち」の日常を思い出させました。
ハマス・イスラエル衝突が始まった今、あの映画に出ていたあどけない男の子たちは成長して今どうしてるんだろう。
タクシー運転手やコーヒースタンドの陽気な店主、劇団の俳優や漁師のおじさん、ミシン工場の社長さん、昔は兵士になりたかったけど今は武力で解決できないと悟ったお母さん、チェロを弾いていた少女。
私たちと同じように、みんな精一杯生きてました。
これからガザとイスラエル、ハマスに捉えられたイスラエル人や諸国の方々がどうなっていくのか、不安でいっぱいです。
私にできることは少ないけど、映画の感想をこうやって書いたり伝えたり発信することはできるし、緊急募金を行なっている団体も多いのでその発信や応援もできます。
微力だけど無力じゃないと信じて、やれる事を行なっていきたいと思います。
お知らせ
映画『ガザ 素顔の日常』オンライン上映シンポジウムhttps://gaza2023a.peatix.com
この映画を配給している「ユナイテッドピープル」さんが主催された、10月14日に開催された緊急シンポジウムのアーカイブ販売です。映画とシンポジウム両方見れます。
期間限定販売で10月18日20時締切です。配信期間は、10月19日正午です。映像は全体で2時間51分あります。余裕を持ってお申し込みください。
お知らせ2
ユナイテッドピープルさんが全国各地で上映会をされています。
近くで上映されてたらぜひお出掛けください!
映画クレジット
映画「ガザ 素顔の日常」
監督:ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル
プロデューサー:ブレンダン・J・バーン、ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネル、ポール・カデュー
エグゼクティブ・プロデューサー:トレバー・バーニー、クリスティアン・ベーツ、マリーズ・ルイヤー
撮影監督:アンドリュー・マコーネル 編集:ミック・マホン 音楽:レイ・ファビ
配給:ユナイテッドピープル
92分/アイルランド・カナダ・ドイツ/2019年/ドキュメンタリー
https://unitedpeople.jp/gaza
配給:ユナイテッドピープル
Tel.090-8833-6669
Email: pr@unitedpeople.jp
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?