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韓国ソウル市庁でひきこもり支援意見交換(韓国訪問Day1)
2023年2月2日(木)にソウル市イノベーションセンターで行われた日韓若者フォーラムに参加してきました。
日韓若者フォーラムは2012年から毎年行われ、日本と韓国両国で開催してきました。日韓の若者同士が政治的な問題や文化の違いに目を向けるのではなく、協力してこれからの社会を生き抜くための方策を語り合い、実践する場です。2023年の第11回は、3年ぶりのリアル開催となりました。(過去の開催はこちら)
今回、2泊3日でソウルに滞在し、日韓若者フォーラム以外にも若者支援に尽力している韓国の方のお話を聞く機会がありました。
5年後、10年後に振り返ってみて、2023年当時の情勢として振り返ることができれば幸いです。記録も兼ねて残していきます。
●ソウル市未来青年企画団視察
2023年2月1日(水)、羽田空港から金浦空港へと出発しました。
2022年11月から韓国入国にビザが不要になりましたが、入国72時間前までのオンラインでの渡航許可が必須となります。(2023年2月現在)
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まず最初に、ソウル市庁にあるソウル市未来青年企画団の視察でお邪魔しました。キム・ダヨン主務官がご説明してくださいました。
ソウル市のひきこもりは約13万人
ソウル市では2019年からひきこもり支援を開始しており、これは国より早い施策となる。自治体で調査を実施し、今年の1月に発表した際にはメディアでも話題となり、市民の関心が大きくなった。今回、ソウル市では「ひきこもり」が政策のキーワードになっており、タイミングも良かった。
影響力は絶大であると伺った
調査結果は、ソウル市内の4.5%(約13万人)がひきこもり状態にあると見込まれている。また、若者に特化した政策ではなく、経済/就職など複合的な全般支援が求められているというニーズがあった。
15~39歳人口に占める割合は2.3%に上っている
令和4年版 子供・若者白書(内閣府)
ひきこもり支援に関しての法律はなかったが、2021年に条例として制定され、支援計画の策定ができた。
2019年は100人を支援し、2022年の今回は孤立青年420人とひきこもり237人を分けて支援した。
孤立青年420人のうち、64人が就職し、125人が職を探し始めたというポジティブな結果も出ている。
ひきこもり支援の237人のうち、20人が就職/進学に繋がった。
実際に支援は2019年から始まったが、具体的に何人が対象なのか、支援実態があるのか把握できていない=引き続き実態調査を開始していく予定。
ひきこもり要因は就職難?
孤立青年/引きこもりの定義がソウル市として確立できていなかったが、今回のリサーチを通してはっきりさせ、メディアまで巻き込むことができたことは一定の研究成果と捉えている。
リサーチ結果では、ソウル市内のひきこもりの大半は就職難が原因とみられており、期間は1~3年が最も多かった。
その当事者たちは、一般の若者に比べて2倍「自分が貧困である」、3倍「身体的問題を抱えている」、2倍「精神的問題を抱えている」という回答が上がった。
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(ひきこもりに関する支援状況等調査結果(令和3年4月))
![](https://assets.st-note.com/img/1675681453262-vrsLmB86LP.jpg?width=1200)
ひきこもりは自己責任ではない
ソウル市の全部署が連携して引きこもり支援に取り組んでいるが、今後はどうやってひきこもりを発掘するのかが課題になっている。
調査を通してインフラを整備し、現状を明らかにした上で、若者が安定社会に復帰することを目指していく。
本調査の発表が話題になったが、今まで個人の問題と認識されていたひきこもりが、制度/社会システムの欠陥問題であるという理解が世間に広まったことは喜ばしい。
が簡単に進むかといえば難しい気がする・・。特に自己責任ではなく、
社会システムの是非を問うことは一朝一夕には進まないのではないだろうか。
韓国ではひきこもりの発掘が大事だと捉えているが、本当にひきこもりかどうかを判定することはそもそも可能なのか。家族を通じてするしか現状ソウルでは案として出ていない。
①既に引きこもりの人にアプローチ(風邪になった薬投与)
②事前に対処(手洗いうがい)
の両輪で考える必要は感じている。
KPIが絡むと難しくなる話でもあるが、理想は両方カバーできれば一番好ましいと思う。
韓国の若者(ひきこもり)支援の現在の位置の話が聞けました。日本でひきこもりという言葉を聞くようになってからまだ2,30年だが、着々と「hikikomori」という言葉は世界に広がり、問題意識が根付いていたと感じました。
国を跨いで、このような議論ができることは個人的には好ましく、自宅の机からでは伺えないことが各地で起こっているのだと実感しました。
今度は逆に日本の取り組みの紹介の時間が設けられていたので簡単に紹介します。
日本の若者支援の事例
good!ではワークキャンプを行っている。
若者が人と関わる機会は日本でも失われていると感じている。関わっていても、本当の仲間になっていない感覚。
不登校が200人ほどいる高校で働いていた経験もあり、国際交流といった機械でガラリと環境が変わって感じることもあるのではないか。
例えば、タイに一緒に行くだけで目の色が変わり、人とホンキで関わり、最後には現地のことに思いを馳せる若者を見てきた。
ひきこもっていないし、学校にも行っているけど、誰にも心を開いていない人は一定数いると思う。予防と防止を平行してやることが必要。
また、小学生から学校と家と塾しかない子どもに対して、サードプレイス的なものが必要。不登校になったら自然と繋がれるように居場所を構えておきたい。
広島を拠点に国内ワークキャンプを実施している。
特に若者に絞るのではなく、孤立という観点でごちゃまぜにして人が集まっている。
8050問題やヤングケアラーなど、若者だけの問題ではなく複合的な課題も増えている。
コロナになって誰しも孤立が身近になった(なってしまった)といえる。若者だけではなく、その家族や地域の人、応援してくれる地元企業まで気にかけ、捕まえて連携していく。マイノリティの連帯(もはやマジョリティ)。
家族支援の切り口で少しお話させていただく。
育て上げネットの家族支援「結」(ゆい)では、LINEの登録者が3,000人ほどいる。困って相談したい親だけでなく、今後のための予習だったり情報収集の方など多岐に渡るが、何かあったら繋がれる、という安心感を常に提示していきたいと考えている。
皮肉にも、コロナ禍によりオンライン化が進み、LINEやオンライン会議ツールでの相談が激増している。ただそのお陰で住まいに関わらず全国、世界中からの相談が可能になっている。
若者だけ直接支援するのではなく、家族の面からもアプローチすることを心掛けており、その点ではソウル市と近いかもしれない。
若者を発掘するお話があったが、どこにも出ていない若者を見つけるのは日本でも難しく感じている。親から情報を得てどういう方向性でキッカケを掴めるか模索する。
弊社は現地法人があるので、海外留学(ワーホリ)を通してアプローチし、困難を抱えている場面を変える手助けができればと思う。
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●意見交換を通して
ソウル市は19歳-39歳がひきこもり青年という枠で支援対象、15歳-18歳は青少年支援の枠になるそう。ただ、国の施策では34歳までとなり、年齢幅の多少のズレは生まれていました。
日本でも39歳➤49歳になったように、今後さらに政策対象年齢は広がるのではないかと個人的には感じました。
対象者を取り巻く環境や社会の変容も進み、個別化するケースが増えてきたとき、日本も含めてどのように社会システムで対応していくのか、一緒に考えていければと思いました。
今回、ソウル市の話を聞いて印象的だったことが2つありました。
一つは、行政の連携がスムーズであるということです。
ひきこもり支援をする際、仕事面/健康面/文化面/観光面/矯正面/福祉面、といった多角的な部署がそれぞれアプローチをする体制ができていると仰っていました。
これは、ソウル市(市長)の中央集権が進み、政策に対して協働する仕組みが整っていることに起因しているといえます。日本で同様の取り組みは現状難しいでしょう(いわゆるタテ割り)。
二つ目は、世論の関心の高さです。
メディアで調査報告をしたのが今年の1月ということを踏まえても、国民の関心が高まり、理解されるまでが早いと感じました。
特に、ひきこもりが社会システム上の問題であるとすぐに思えるのは想像ができず、要因については気になります。コロナ禍で孤立を感じる層の拡大による当事者性の高まりは予想できますが、実情は不明でした。
ただ、日本の支援者もそこを目指している方はいる(少なくとも私はそうです)と思うので、参考にできることは学びたいな、と思いました。
長文になりましたが、2日目の日韓若者フォーラム、3日目の韓国社会的企業への訪問の内容も引き続きレポート残していきます。
気になる点ありましたらご連絡ください。
※翻訳や文脈など、実情とは異なる内容がある可能性があります。
また、基本的に個人の感想になりますのでご了承ください。
以上
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