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かわいい国、イギリス

1位 口癖
2位 ジェスチャー
3位 ほほえみ

このランキングは、私が思うイギリスのかわいさトップ3です。

イギリスはかわいい。
そう言うと、たいていの人は首を傾げます。
確かにイギリスを表わす形容詞は?と聞かれて「かわいい」と答える人は少ないと思います。
多くの人が紳士的、厳格な、規律正しい、などが思い浮かぶのではないでしょうか。
でも、短期であってもイギリスに滞在したことがある方なら、「かわいい」と答えたくなる私に共感してもらえるのではないかと思っています。
今回は日常に隠れているイギリスのかわいさをご紹介します。


まず、3位のほほえみ。
イギリス人は、目が合うと必ずほほえんでくれます。
日本では、誰かと偶然目が合ってしまうとお互いに気まずくなって目をそらしてしまうことが多いと思いますが、イギリスでは違います。
口元や目元だけでほほえむなど、さり気ないほほえみを必ず交わすのです。
それは友達ならもちろん、赤の他人であっても。
私も、スーパーで年配のご婦人にほほえんでもらった時はなぜか安心した気持ちになりましたし、電車の中で強面のお兄さんと目が合ってしまった時に意外とかわいい笑顔を見て、異常にうれしくなったことを覚えています。
 
この習慣があまりにも気に入ってしまい、私はすぐに取り入れました。
最初はほほえんでもらってからほほえみ返していましたが、言葉を交わさなくても、気持ちが通じたような感覚になれることがうれしくて、いつの間にか私の方からほほえむようになっていました。
ただ、一つ失敗したことは、日本に帰ってきてからもやって勘違いされてしまったこと。
日本ではこの習慣はありませんから、注意が必要ですね。

2位のジェスチャーは、両手の人差し指と中指をくっつけてクイクイッと2回軽く曲げるカニのような仕草です。
これは会話の途中で一瞬出てくるので見逃してしまいそうになりますが、ダブルクォーテーションマークを表します。
たとえば「新しくできたカフェのイチオシが“映え”でさ、毎日すごく並んでたんだよね」というセリフの中の「“ ”」を体で表現するのです。
この場合は「いわゆる○○と言われるもの」を表わすのですが、この他にも会話の流れを遮らずに強調したり重要なキーワードを伝えたりできるので便利なジェスチャーのように感じます。
さらに「“ ”」はちょっとした嫌味を表わすこともあるそうで、このセリフの場合だと、もしかしたら本当は“映え”ではないことを伝えているのかもしれません。
 
このジェスチャーを初めて見たのは、通っていた語学学校の先生がやっていた時でした。
その時どんな会話をしていたのかは忘れてしまいましたが、突然出てきたそのジェスチャーに、「え、ちょっと待って、今の何!?」と笑いそうになったほど衝撃的でした。
だってその先生というのが、口髭のよく似合う熊みたいな大きなおじさんだったのですから!
ギャップ萌えもいいところです(いや、萌えはしなかったけれど)。
まさかそれが一般的なジェスチャーだとは思いもよらなかった私は、その人特有の癖なのか、見間違えなのか、はたまた触れてはいけない案件なのか、しばらく気になって気になって仕方がありませんでした。
ところがしばらく滞在していると、他のおじさんや男の子も女の子もしているジェスチャーだと分かり、安心するとともに妙に興味を惹かれるようになりました。
 
これは女の人がこの仕草をするとキュート、男の人がするとチャーミングです。
想像してみてください、某アイドル発祥の“ちゅきちゅきポーズ”の指のまま顔の横でクイクイッとしている姿を。
その時の会話でどんな意味を含んでいるジェスチャーだったとしても、そしてそれが誰であったとしても、その姿は一瞬かわいくなるので見逃せません。


そして最後に1位の口癖です。
これは言わずもがな「Lovely」です。
イギリス人を観察していると、「Lovely」は一日に何度も耳にします。
 
カフェでメニューを説明してもらって「Lovely」
乗り換える地下鉄(tube)を教えてもらって「Lovely」
お支払いの時「細かいのある?」と言われてぴったりの小銭を出した時に店員さんから「Lovely」
好きな人の写真を見せてあげたらクラスメイトから「Lovely」
学校でコース変更を申し出て、受け入れてもらえたら「Lovely」
「Lovely」を聞かない日は無い、と言っても過言ではないくらい日々飛び交っています。
 
これはイギリス人が「かわいい」を連発しているわけではありません。
日本語で言うと、「いいね」とか「ありがと」が近いとは思いますが、日本人はそれらの言葉をそこまで頻繁に使っているわけではないので微妙に当てはまらないとも思っています。
「Lovely」は小振りな称賛であり、ライトなお礼の言葉であり、軽めの羨みであり、話し手の気分をさり気なく盛り上げる相槌でもあります。
と同時にその全部でもある、という非常に便利な表現だと思います。
 
初めて使う時にはくすぐったい気持ちになりますが、一度口にしてしまえばもう平気。2度目からは気軽に口からこぼれ出てきます。
「Lovely」と言われて嫌な気持ちになる人はいないのと同じように、言った側の人も気持ちがほんのり温かくなっているのです。
イギリス人の口癖「Lovely」は、人の心をほっこりさせる魔法も隠し持った言葉でもあると感じています。


イギリスはかわいい。
そう感じる私に共感していただけたらうれしいです。
でもきっと、イギリスにはまだまだ知られざるかわいいがあるはず。
私はまだまだ探してみたいと思っています。
たとえイギリス人から「そう?そんなの別にかわいくないわよ」と言われようとも。


それでは皆さん、良い夢を。

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