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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.57

【過去の投稿です】2020.6.6.記


●[66枚目]V.A.『ソウルド・トゥギャザー』<アバウト・タイム/Pヴァイン>(91)

① BABY LET ME TURN YOU ON - WILLIE CLATON

② BE MY GIRL - JHARRIS

③ COME BACK TO ME - CHARLES

④ LET ME LOVE YOU TONITE - JIMMY NICHOLAS

⑤ IT MUST BE LOVE - FRANK ALSTIN

⑥ GIRL I WANNA SHARE MY WORLD - FRANK ALSTIN

⑦ CHAPTER 11 - JIMMY NICHOLAS

⑧ LOVE STORM - ME, HIM & HER

⑨ HOW LONG DOES IT TAKE - ME, HIM & HER

⑩ DREAM COME TRUE - JHARRIS

⑪ THIS IS MY DREAM - BARBARA MORRISON

⑫ DONE BEEN - KENNY PIERCE

※本文を書くに当たり、高沢仁さんのライナーを大いに参考にしています。

ソウル・ミュージックは果たして消滅しているのだろうか?形態としてのソウルはR&Bと名前を変えたかも知れない。しかし、その「良心」は引き継がれている。本盤は、時代的には現代R&Bだろうが、感覚的にはやや手前。しかし、70年代のソウル・ミュージックとはやはり違う。しかし、違うと言って否定するものではない。ブルースもそうだが、ブラック・ミュージックは「良心」のリレー。曲内に息づく「良心」に我々は感銘するのだ。

本盤の原点は、イギリスの<アバウト・タイム>。主宰者のマイク・ワードが関連レーベルも含め、セレクトした一品だ。同名のイギリス盤とPヴァイン盤では曲名が違うが、Pヴァインによる編集ではないようだ。マイクが<アバウト・タイム>の前に主宰していたのは<タイムレス>。ソウル・ファンにはこちらの方が馴染みがあるかと。本盤の冒頭で登場するウィリー・クレイトンのデビュー作『フォーエヴァー』(これもPヴァイン経由で話題となった)を生んでいる。トミー・テイト盤などもよく知られている。<アバウト・タイム>はコンピレーションが多いようで、単独ではロニー・マクネア盤などがリストにあった。マイク・ワードの他の仕事では南部に根付く<ジュアナ>や<ウェイロ>がある。

イギリス盤内容

https://www.discogs.com/Various-Abouttime.../release/3452652

残念な事に本盤全体のデータがネットで拾えず、ライナー頼りの文となる。1曲目は前述したウィリー・クレイトン。ソフトな歌い口ながら渋み・深みがあぶり出しのように現れる。②⑩はジャーリス。本名ジョニー・ハリス。Discogsに拠れば本盤2曲のシングルと他曲を含めた12inchしか記録は無い。②ではせつなげな歌い方だが芯がある。⑩は雄大に歌い込む③はチャールズ。本名チャールズ・E・ダグラスⅢ。ライナーには独<TRP>からアルバムが出ると。調べたら92年に『グランド・ケイマン・ナイツ』がリリースされている。それを見て判ったがグローバー・ワシントンJrが本曲に参加しているようだ。個人的には低音域のモッチャリ声が気になるが苦にはならない。④⑦がジミー・ニコラス。彼もDiscogsで調べた所、12inch2枚のデータしかない。音域の幅の広さを感じる。コクのある中音部からよく伸びる高音部までお見事。⑦のほうがよりダイナミック。

『グランド・ケイマン・ナイツ』

https://www.discogs.com/Charles-Douglas.../release/5068842

⑤⑥のフランク・アルスティン。彼も、<アバウト・タイム>以外には英<ムーヴ>に12inchがある程度。ライナーで述べられているように、テディ・ペンダーグラス系。テディよりはテンダーな歌唱だ。⑤はかなりの人気曲のようだ。12inchはYouTubeに上がっておらず、シングル・ヴァージョンを貼り付けておく。⑧⑨は、「ザ・バンド」並みに意表を突いたユニット名のミー、ヒム&ハー。⑧では、めくるめく高音にハードタッチのシンガーが上手く絡む。ウェインとテリーのアーノルド兄弟と、マイケル・モリスというスタジオ・ミュージシャンのグループ。バック・ミュージシャンとして活躍しており、ウェインはジャクソンズ『ヴィクトリー』内の1曲を創っている。⑨はニュージャック・スイング風。⑪のバーバラ・モリソンは、今年の誕生日がくれば71歳。現在もジャズ歌手として活動を続けている。70年代後半から10年ほどはジョニー・オーティス・オーケストラに参加していたとの事。何とも言えない爽快感がある。ラストのスロー・ファンクはケニー・ピアース。ボビー・ブランド『カム・フライ・ウィズ・ミー』内の「ラブ・トゥ・シー・ユー・スマイル」の作者でもある。ちょっと女性シンガーに聴こえる瞬間もある。コーラスの女性連も可愛らしい。

Baby Let Me Turn You On - Willie Clayton

JHARRIS : BE MY GIRL

Jimmy Nicholas - Let Me Love You Tonite

Frank Alstin - It Must Be Love 45's

Me, Him & Her - Love Storm

Kenny Pierce ‎– Done Been



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