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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.41

【ブログの過去記事】

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[49枚目]●アレステッド・デヴェロップメント『テネシー(遠い記憶)』<クリサリス/東芝EMI>(92)


※松尾潔さんのライナーを大いに参考にしています。

活気に満ちた音のコラージュだ。重量感を保ちながらも、弾力十分なベース音。時に饒舌なスクラッチ。バタバタしない疾走感。ラップは入るが、主導的立場ではなく、曲を構成する一部として生きている。

ブルース好きは、ジュニア・ウエルズのハープがループする②「ママズ・オールウェイズ・オン・ステージ」にハマるだろう。

③「ピープル・エヴリデイ」は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンへのオマージュか。男女混成の大人数で、平和的なイメージは共通項とも言えるが、時代のせいか、アレステッドの方が色彩鮮やかな感じだ。レゲエ感覚も取り入れたダンスのキレに、スライのファンクとは違う愉快なメリハリを感じる。⑤「ミスター・ウェンドル」の奇声のような合いの手にも独特のリズム感とユーモア感覚をおぼえる。

主要人物の「スピーチ」は、ミルウォーキー生まれだが、幼少の頃から、夏休みをテネシー州で過ごしており、彼の原風景としての「テネシー」が、本盤のイメージを形成しているとも言える。時代に沿った音遣いで、社会性の高い歌詞を持ちながら、どこか懐かしさも覚える濃厚なアーシーさを感じるのは、根底にある「テネシー」の大地の豊かさが聴く者に伝わるのではないか。因みに、彼らの本拠地はテネシー州のさらにお隣り、ジョージア州アトランタだ。

原題の「3 YEARS, 5 MONTHS AND 2 DAYS IN THE LIFE OF 」は、レコード契約期間だそう。一見安易な発想に思えるが、「時の流れ」に対して敏感な側面が見えると、ここでは深読みしておこう。

ところで、ミニCDが付いている。映画『マルコムX』の挿入歌と、「テネシー」のレゲエ調リミックスと「ピープル・エブリデイ」のリミックスを所収。

Mama's Always On Stage


People Everyday


Mr. Wendal


Fishin' 4 Religion


Tennessee


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