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Glory, glory 【プレミアリーグ観戦記】

死ぬまでに行きたい場所というのは誰しも考えがあることだろう。ある人はニューヨークかもしれないし、ある人にとっては我が東京がもしかしたらその目的地かもしれない。僕もまだまだ行きたい場所を消化しきれていないが、先日そのうちの一つに晴れて訪れることができた。その名はOld Trafford(オールド・トラフォード)、別名Theatre of Dreams(夢の劇場)とも言う。



前回のnoteから1ヶ月近く、なかなか書きたいことも思いつかず放置してしまっていたがこのことを書くのを忘れていたと慌ててWordを起動した次第だ。

オールド・トラフォードとは

オールド・トラフォードとはイギリスのマンチェスターにあるサッカースタジアムで、”赤い悪魔”とも称される名門マンチェスター・ユナイテッドの本拠地だ。2012年に香川真司選手が加入し、大きなニュースになったことからサッカー通ではない方でも記憶のどこかにはその名前があるのではないだろうか。

かく言う僕自身も香川選手が加入するまではプレミアリーグはおろか海外サッカーには全く興味がなかったが、当時日本のスター選手だった香川選手の活躍をチェックしようと試合を見始めたのがマンチェスター・ユナイテッドのファンになったきっかけだった。今から12年も前、僕が小学生の頃の話だ。

その頃のユナイテッドはとにかく華があった。ファーディナンド、ヴィディッチによる鉄壁のCBコンビ、スコールズ、キャリックなどのベテランMFに加えてウェイン・ルーニーというイングランドサッカー史に残るような大スターがいた。中でも僕のお気に入りだったのがオランダ人FWロビン・ファン・ペルシー。彼の豪快で時にアクロバティックなプレーは、当時も今も彼とは違うポジションでプレーする僕でさえも魅了した。今でも実家のどこかに彼の背番号20のユニフォームがあるはずだ。

香川選手が加入した2012-13シーズン以来リーグ優勝からは遠ざかっているユナイテッドだが、僕のお気に入りのクラブであり続け、いつかはその本拠地であるオールド・トラフォードを訪れてみたいというのが僕の夢でもあった。


憧れのファン・ペルシー。後ろにうっすら香川選手も見える。
引用:https://www.skysports.com/football/news/11667/11976885/robin-van-persie-seven-years-on-from-man-utd-s-last-premier-league-hat-trick-and-title

青天の霹靂

そんなこんなでヨーロッパに留学することになり、日本にいた時と比べてマンチェスターが非常に近くなった。千載一遇のチャンスではあったが旅行にどのくらいお金をかけられるか未知数だったため躊躇いがあった。20歳までは割引を受けられたのだが、うかうかしている間に21歳になってしまった。さあ次の旅先はマンチェスターだと公式サイトでチケットを探し始めたのは冬ごろになってからだった。しかし、大人気のオールド・トラフォードのチケットを取るのにほぼ必須とも言えるメンバーシップがなんと売り切れになっていたのだ。絶好調のシーズンならまだしも今年のユナイテッドはめちゃめちゃに弱い。予想外の事態だったがオールド・トラフォードで試合を見るという夢は持ち越し…かと思われた。というか完全に諦めていた。

急転直下の展開は5月の始め。マンチェスターで勉強している高校からの友達がコインブラに遊びにきてくれた時のこと。カフェで取り留めもない話をしていた最中、何気なしにユナイテッドの話をしたら友達づてにチケット取れるよ!とのこと!?!?ありがたや。ありがたや。思いもよらない形で2週間後のマンチェスター行きが決まった。

いざ、夢の劇場へ

スタジアムに向かうバスはユナイテッドサポーターでいっぱい…かと思ったが全乗客の半分くらいなもので、混雑してはいたものの高校時代の山手線で3年間通学という地獄のような経験からすれば余裕だった。面構えが違う。
あまり実感が湧いていなかったが、スタジアムが実際に見えるとやはり鳥肌が立ってきた。まさか叶うとは思っていなかった夢が思わぬ形で叶った瞬間だった。

Welcomeされた、かたじけない

公式ショップでユニフォームを調達。誰のものにするかめちゃめちゃ迷ったが、ポルトガル人のブルーノ・フェルナンデスに決めた。自分のために買ったものとしては多分1番高い。

スタジアムの正面で1枚、人多い

席は上の方だったが、ピッチを見渡せるとてもいい席だった。キックオフギリギリだったが、なんとか選手入場には間に合った。今まで画面の中でしか見たこと無い風景が目の前に広がるともちろん感動するのもそうだが、本当に実在していたんだとその存在をちょっと疑っていた自分にも気付く。やはり僕は目で見たものしか信じられないのだろう。


ニューカッスルの守備が綺麗な4-4-2

試合はゴールラッシュの展開。ユナイテッドの選手でゴールを決めた選手は19歳、21歳、21歳とチームの明るい未来を予感させるような素晴らしい試合運びだった。と言いながら21歳は同い年だ。

話は脱線するが最近はスポーツ界で次世代のブレイク候補とされるような選手たちが同い年だったりはたまた年下だったりしてくる。甲子園でプレーする選手たちなんかは皆年下だ。劣等感を感じるという段階はとうに通り越して、彼らを心から尊敬している。自分と同じくらい、もしくはそれよりも少ない時間を有効に活用し日本や世界のトップクラスで活躍できるだけの実力を養ったのだ。もし同い年のスターがユナイテッドに現れればこれほど嬉しい事はない。

最高の90分を終えて

試合中電光掲示板に表示される時計をちらちら見ていたのだが、時間が過ぎていくのがこれほど惜しいと思ったことはなかなかなかった。90分と少し長めの追加時間を終え、試合終了。結果は3-2でユナイテッドの勝利だった。公式戦3試合ぶりの勝利、ホーム最終戦で意地を見せてくれた。

電光掲示板の写真を撮り忘れる痛恨のミス
引用:https://www.manutd.com/en/matches/first-team/2023-24/all


日本にいると時差の関係で試合を見るのが難しかったり、物理的に距離が離れ過ぎているせいで応援し続けるのがなかなかに大変だったりする。ただ、オールド・トラフォードの熱気、選手たちの活躍を生で見てしまったからには応援し続けなければならないというような使命感すら感じる。再びマンチェスター・ユナイテッドがイングランド、ヨーロッパの頂点に立つ日をこの目で見てみたいと心から願っている。



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