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星空カフェ


カラン、カラン、


あら、お客様かな
今日はどんな方かしら


いらっしゃいませ

カウンター席しかありませんが、
お好きな席へどうぞ

 

  素敵なお店ですね
  
  えっと、
  メニューはありますか?


  
メニューはご用意しておりません
お客様は何を召し上がりたいのですか?


 そうですね


 蒸し暑いので
 冷たい飲み物をお願いします


 あれ!
 言ったとたん、
 目の前に現れた


 こういう見た目も涼しげで
 おしゃれなドリンクが
 飲みたかったのです


 どうしてわかったのですか?



ふふ、
それはお客様が望んだからですよ
望んだものをお出ししています

 
 
 え!
 じゃあ、フルーツとクリームののった
 パンケーキって頼んだら…


 あ!
 これこれ、
 今思い浮かんでいたパンケーキ


 どうやったら
 こんなに早く出せるのですか?
 魔法のようですね



お客様が心の底から
素直な気持ちで意図すれば
すぐ出来上がり、目の前に並びます。


このカフェでは、
私はご案内係のようなもので、
全てセルフサービスのカフェといった方が
わかりやすいでしょうか


 
 そうなんですか!
 こんなお店は初めてです


あら、お客様は常連さんなんですよ
覚えていらっしゃらないと思いますが


 
 え?
 全く記憶がないけれど


その通りですよ
その扉から出てしまえば
このカフェの記憶は
無くなってしまっていたので
無理もない話です


けれど、
これから先は
お客様次第で、
覚えておくことができます


 わあ、それはよかった!
 では、また来るために
 お店の名前を教えてください

 

なんという名前だと思いますか?
  


 うーん、
 窓から星がよく見えるから
 星空カフェじゃないかしら?



お客様にはそう見えているのですね
では、お客様にとっては
ここは
「星空カフェ」です
 



 もしかして
 人によってカフェの名前が違うの?


もちろん、そうですよ

「浜辺カフェ」だったり、
「湖畔カフェ」だったり

人それぞれです


 面白いですね
 ぜひまた来ます

 忘れないように
 お店の場所を覚えておきますね


ふふ、
忘れても大丈夫ですよ


来たいと思えば、
店の扉へ続く道に
出会えますから


大事なのは
このカフェに来たいと
思うことですよ


カフェの扉は
いつでもお客様に
開かれていますからね

 
 

 (また今度来るのが楽しみだなぁ
 次は何を頼もうかなぁ

   カラン、カラン)


お帰りになったようね


私もまたお会いできるのを
楽しみにしていましょう