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窓際のおっさん29 私が事務処理を苦手とする理由(1/6) ミスする量なのにミスできないという矛盾

 会社組織において、事務処理は欠かすことができない仕事である。契約においても、申請においても、記録においても。
 一方で毎度毎度、最終的には読まれもせずに倉庫から倉庫、そして数年後には厳重な管理の元で処分されるものばかりでもある。
 加えて、事務処理は一見、マニュアルやルールに従って処理されているようで、案外色々な人の感情や忖度、くだらない妄想が乗っかったり、モンスタークレーマーの苦情一つで膨大な量の事務処理と新ルールが出来たりと非常に感情的な仕事でもある。

 おっさんはそうした事務処理の世界が大の苦手であり、従事していて苦痛であると同時に、未だにミスや抜け漏れが無くなることはない。
 今回は私が事務処理を苦手とする理由について、おっさんの体験を交えながら考察したいと思う。

<人がやる部分はどうしてもミスが無くならないのに、ミスは許されない空気>


 これは宿命であるのだが、人間のやる作業というものは必ずヒューマンエラーが発生する。現場作業ではミスを前提として安全策がいくつも張り巡らされているが、なぜか事務処理はそうでないことが多い。
 自動化簡略化すればいいところなのに、わざわざ手作業で追加記入ばかり増やし、ミスを誘う一方で、「ミスは許されない」などと、感情を振るわせて言う人が未だに多いように思う。

 おっさんの体験を話す。

 市役所での仕事のこと。人口100万人超、30~40万世帯の膨大なデータの結合と整理の作業を命ぜられた。
 エクセルで何分割にもされており、決まった順番で抽出し、並べ替えるというものだった。

。。。手作業で


おっさん「これは絶対ミスしますよね。。。本当にこれ毎回やるんですか?」

先輩「(ちょっとイラッとして)うん。みっ、ミスは絶対にゆるされないからぁ~!」

おっさん「いや無理ですよ。何日かかると思ってるんですか? この作業量を手でやってミスゼロなんて不可能です。」

先輩「フッ…フフッ!(震え声で) 不可能じゃなくて、ミスしないようにしますだろう!!」

おっさん「(苦笑いして)アクセスかなにかありますかね? 毎度これどれくらいで仕上げてますか?」

先輩「二週間ぐらいかな。。。」

おっさん「二週間!? えぇ。。。」

先輩(イライラ。。。)

おっさん「いやごめんなさい、本当にこれでミスゼロは無理ですって。なんとかプログラムしますんで、手作業は勘弁してください。」


 上記の例は極端だが、手作業では耐えがたい程手間で、ミスがあってもやむを得ない程膨大な処理量は、令和になっても、なぜか色々な組織の色々な仕事に存在すると思う。

 しかも自動化できるにもかかわらず手作業で行うように言われ、ミスしたら叱責やペナルティが待っているのではないだろうか。

 考えただけでやる気もなくなるし、やる気を振り絞ったとしても結果が伴わなかったら、理不尽に叱られて発狂してしまうと思う。
 おっさんはこの時は、なんとかアクセスがあったので厳しい現実を免れたが、なにもツールがなかったら、恐らくパンクしていただろう。

 思うに状況からして、今まではミスが無かったのではなく、ミスしたまま気が付いていないとしか考えられない。

 にもかかわらず

「みっ、ミスは絶対にゆるされないからぁ~!」

と、横でビクビクオドオドイライラしてくる先輩の姿にも辟易する。

 こういう人間の下で作業をする際のプレッシャーは大きいのと、「自分でできないことを人に強要するな」という想いが重なって、モチベーションの維持が大変である。

 このような「不毛な人海戦術と犠牲の強要」という状況にしばしば置かれるため、事務処理はストレスフルで苦手なのである。


次回に続く

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