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読了のおっさん27 ゴールデンカムイ(野田サトル/週刊ヤングジャンプ)

今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。

概要的なネタバレは含みます。


宝石の国(市川春子/月刊アフタヌーン)
2014年~2022年 全31巻

① タイプやテーマなど
 戦争、埋蔵金、アイヌ、明治政府、軍事、北海道、歴史モノ、革命、黄金、人身掌握、怪奇

② 簡単な内容
 日露戦争終結後、陸軍を退役した杉元(主人公)は、幼馴染で未亡人の梅子の眼病を直すべく、北海道で砂金を取っていた。作業を眺めていた男が、酒に酔って
アイヌの埋蔵金の話をする。初めは意に介さなかった杉元だが、酔いが冷めた男が杉元を殺害しようと襲ってきた。返り討ちにしたところ、男は通りがかったクマに襲われて落命する。遺体を回収すると、その男には話のとおり、埋蔵金の在処を示す刺青が彫られており、杉元は埋蔵金の話が事実であることを確信する。
 遺体を奪われたことでヒグマに襲われることとなった杉元は、今度は地元アイヌの少女アシリパに命を救われる。アシリパの父親が、埋蔵金と関わりのあることを知った杉元は、アシリパに刺青と埋蔵金の事実を説明し、共に埋蔵金を手にいれるべく手がかりを探し始める。


③ 読みどころ
 埋蔵金の手がかりとなる刺青人皮の捜索および、複数勢力間での争奪戦が最大の見どころとなる。各勢力には裏切ったり抜けたり、様々な過去や思惑を持った人物達がおり、誰がどのように行動し、どのような結末になるのか、常に手に汗握る攻防が続き、飽きることがない。
 また、数多くの殺戮シーンや、刺青を剥ぐなどの残酷な描写が続く中、多数のギャグシーンが詰め込まれている。そして、アイヌ文化の描写が多々あり、集落や衣装、人間、信仰、借りなどの生活についてのウンチク的な部分も見どころである。特にアイヌの料理は珍しく、少々生々しいとはいえ美味な見た目で、興味を引かれる。

 キャラクターも良い。埋蔵金の争奪をする主な勢力は、
① 主人公の杉元とアシリパに脱獄囚白石その他のメンバーを加えた一党
② 陸軍第七師団に与する一党
③ 明治初期の旧幕府軍・蝦夷共和国関係者
 の3つで、互いの勢力間で、思惑の違いや利害に伴う裏切り等で人員が行き来し、時には勢力同士でも協力もし合うといった複雑な展開になる。

 どの一党にも属さ無いもの、ロシア関係者、単なる狂人、一時対立または手を組んだ後、刺青だけ剥がれて(あるいは写しを渡して)退場するものなど、キャラクターは多数存在するが、どのキャラクターも個性的で背景も様々である。そして男キャラが多く、バトルもお色気も男色全振りという非常に男臭い作品でもある。

 概ねコメディリリーフなキャラクターは決まっているものの、多くのキャラクターが読者の笑いを誘う行動を見せる。血なまぐさい戦いや残酷なシーンを相殺して
余りあるほどに、それらは腹を抱えて笑えるシーンであり、そこも本作の見どころである。


④ 雑多な感想
 去年(2023年の10月頃)に、おっさんが「これから漫画をたくさん読もうと思うので、面白い作品を紹介して欲しい」と色々な友人に訪ねたところ、一番多くの人にオススメを頂いたのが本作である。
 
当時は確かアニメの第3期が放送中の時期で、実写の映画を撮影中であるという情報があった。あまりにも大勢に勧められるので、これは近いうちに読んでおかなければと期待を膨らませていた。

 結局、他の漫画作品を見たり、仕事や体調不良で時間が取れなかったため、1月の映画視聴に合わせて、直前になってまとめてアニメを視聴することになったのだが、アニメが楽しすぎて一挙に見てしまった。映画視聴後、改めて漫画原作にも手を付けたが、アニメも漫画原作もどっちもおっさんのオススメ作品になった。

 旧幕府軍で新選組のメンバーが出てくるところもたまらなかった。土方歳三生存設定での明治時代後期という新鮮な舞台背景は、最初の掴みとして個人的には興味深かった(杉元どこに行った)。
 また、アイヌ文化について大いに学ぶことができ、北海道や樺太周辺で、同民族が当時どのように暮らし、どのように当時の和人や露人と接触して関係を保ったのか、その一端を見るのも興味深かった(おっさんは実は、本作を歴史モノともみている)。
 当時の技術についても時代考証をおさらいしてしまった。蒸気船、大砲、銃火器、車両、気球といった軍事的なものもそうだが、衛生観念、薬学、映写機、電気設備、醸造(ビール)といったものにも感心してしまった。本当にバックグラウンドがしっかりしているため、様々なエピソードが浮つくことなく噛み合い、しっかりと読み応えのある歴史モノでもあったように思う。

⑤ その他

 アニメと映画の話も少々したが、実写映画が凄い! すばらしい出来だった。



 アニメを実写化するパターンは最近は当たり前になっているが、それでも原作の雰囲気や、表現の限界があると思うので最初は抵抗が大きいものである。
 だが、今作は自信をもってお勧めしたい映画である。

 世界や迫力の描写もリアルで、ストーリーも原作忠実で安心して見ることができる。また、キャストが非常にマッチしているのも魅力の一つである。
 アシリパや鶴見中尉と言った主要キャラクターの名演怪演も驚きだが、アシリパの祖母(フチ)や土方歳三のキャストと演技のハマリも抜群で、話に関係なく、ただ演者が動いて喋っているだけでもいいなあと思ってしまう。

 本作はキャストそのままで、実写ドラマ化が進行しており、これは楽しみである。もっとも、映画放映時にも、最後に今後出てくるキャラクターとキャストを実写でチラ見せする演出があり、続編映画なり実写ドラマなりへの期待を膨らませずにはいられないところではあったのだが。

 今回は思わずネタバレの多い投稿になってしまったものの、展開や登場キャラクターを知っていても十分楽しめるように思う。
 おっさんもメディアを変えて何度も読了、視聴したいところである。 

まちがいなく近年オススメの一作である。



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