窓際のおっさん87 出世する人の特徴(後編) 現在の中堅で出世する人と次の世代の予想
前回は、出世する人の特徴として、1960年代半ば~1970年代前半の生まれぐらいの昔の人と、1970年代後半~1980年代前半の生まれぐらいの現在中堅の人とで分けて、おっさんの私見でその基準を列挙した。
今回はその続きとして、1970年代後半~1980年代前半の生まれぐらいの人が、出世の面で今後どう取り扱われるかについて詳述し、次に来る1980年代後半~1990年代前半の生まれぐらいの人がどう扱われそうか、予想を立てたいと思う。
<中堅の出世する人の特徴 続き>
今後気になる点は、単純な精度、速度、残業量としての見た目の貢献度、年功が、この世代でどれほど重視されるかである。
精度や速度については、テクノロジーや制度改革の流れから、当面は年寄りのご機嫌取りとしてそこそこ注意はするものの、将来的にはそれほど徹底して気にするような人は減っていくように思う。
部下の揚げ足取りよりも、むしろさっさと帰って子育てしたい世代である。よって今後5年程度で、兵隊として有能なだけの人物は選ばれなくなる方向に、改善が進むとおっさんは睨んでいる。
問題は残業量としての見た目の貢献度と、年功だろうか。
残業については、最近は削減したほうが良いという機運もあって、スマートに仕上げて帰宅する人の方が印象が良くなってきてはいる。
しかしながら、過去に青天井で残業代をつけ、ガッツリ儲けつつ仕事に邁進してきたタイプの人は、まだまだ残業たっぷりの人を優遇する傾向にある。
1960年代半ば~1970年代前半生まれにもまだまだそんな人がたくさん残っているのではないだろうか。特に残業の多い部署を長年経験しているタイプの人は、どうしても残業量で人を図りがちに思う。
徐々に改善して言ってはいるものの、今後10年は、人によってはまだまだ、スマートに時短する人よりも、残業代度外しで猛烈に貢献する人を評価する時代が続くと思う。
また、1960年代半ば~1970年代前半生まれはまだまだ年功意識が高い。関係ないと言われるかもしれないが、専業主婦体制の家庭もまだまだ主流だった時代なので、年功序列、終身雇用を当たり前の価値観として、人生設計を立ててきた人達でもある。
すると結局、年齢を過剰に気にしていると感じる人も割と多いように思う。それを裏付けるこの世代の仕事ぶりとして、例えば、おっさんの体験を話す。
中途採用でおっさんよりやや年齢が上の人が入社したが、入社して浅いため、一先ずの階級は低く据え置かれていた。
その階級では、会社のルールに慣れるためのプログラムに沿って研修を受け、教育係も付くことになっている。教育係は通常、その階級よりも職位が上の人間を当たらせるのだが、その階級の人は、当該中途採用者よりも年齢が下であったため、課長が、あえて中途採用者と同格の社員を選抜してこの任に当たらせた。
この課長こそが、1960年代半ば~1970年代生まれの古い世代だったのである。
無論、異例の措置であったし、通常は役不足でもあり、その時の係長も怪訝そうに理由を課長に訊いていたが、
「年齢が下の人間に指導されたのではプライドが傷つくでしょう」
とのことだった。
正しい配慮である可能性もあるが、中途採用者と会って1週間なのに、年下からの指導を嫌がる人間と決めつけるのもまた疑問が残る。そして、そこは大人なのだから、どちらかというとあまりこだわるべきところでもない。
かくも、1960年代生まれぐらいがリスクを避けるとこうなるのかもしれない(或いは自分がその感覚だから、部下も同じく、年下から教育を受けるのは違和感を感じると錯覚しているのだろう)。
無論全員が同じ価値観ではないが、このような有り様が散見されるので、今後10年程度は、所により、まだまだ年功を最優先して人を評価し続ける状況が続くだろうと、おっさんは予想している。
<次の世代で出世する人の特徴を予想する>
さて、では今後を担う次の世代はどうだろうか。まだこちらは、これから出世するという世代なので、予想になってしまうが、1980年代後半~1990年代前半の生まれと一応区切るとして、考察してみる。
1980年代後半~1990年代前半の生まれを第一に評価するのは、現在の中堅であるおっさんの世代である。よっておっさんの世代自身がどう評価されたかと、今後どう評価すべきかの中間点が評価基準となるとおっさんは予想している。
よって具体的に列挙すると、
① 係長級まではあらゆる実務能力と資格などのプラス要因
② 係長級以上は、致命的にならない程度の仕事の精度とスピードに加え人物重視の選抜
③ 補佐級ないし課長級候補は、更にその中から自分を超える活躍をすると看做された物
このようになっていくと思う。
ちなみに前回、中堅世代の詳述のところで、おっさん世代が課長級になる条件については、今現在の話では特殊な例であると述べるに留まり、今後課長になる人の基準については触れなかった。だがそれは丁度、本項②の、次の世代の係長級に求められる水準のように思う。
要は、昔の人の上級職に求められる水準が、現代の一段下級職に求められる水準にスライドしていくようなイメージだ。
この流れは、ある意味では厳しい選抜になっているように思うが、一方で、妥当性や合理性は高まっているように思う。
実際、現在は部長一歩手前クラスの人が、まるで係長のように、書類の細部にケチをつけたり、追加記入を指示するようなケースも多々見られ、あまりの目線の低さに部下が離れていくという現象も起こっている。
次の世代では世情も厳しく、そんな水準の人を年功だけで上げるわけにはいかないだろうから、厳しくてもそれが道理なのだと思う。
おっさん個人は良い傾向だとは思うのだが、一方で上級職のポスト争いはより激化していくようにも思っている。
若い人ほど苛烈な競争を嫌っているので丁度良いようにも思うが、本気で上を目指す考えがもしあるならば、今の中堅以上に、実力差、努力量の差が顕著に反映される世界になるように思う。