資格いおっさん29 特別編2 技能講習取得優先ランキング(後編)
前回は技能講習取得優先度ランキングについて、5位~3位の詳細を述べた。
今回は残る2位と1位について詳述と、係る技能講習に対する私見を述べて終えたいと思う。
2位 移動式クレーン技能講習
クレーンは、言い方によっては「吊り上げるだけ」の機械なのだが、フォークリフト以上に世の中では使われているようにおっさんは思う。
重いものを吊り上げて運ぶ、引っかけて重い蓋を開けるなど、場所と共に思い浮かべるとクレーンの出番は案外多いものだ。
フォークリフトは完全な定型物の運搬で有利。車両系建設機械は不定形なものを雑に運搬するのに便利。
移動式クレーンはその点では、ワイヤーロープとフックを使って、どんな場所でもどんなものでも吊り上げて移動してしまう強みがある。
フォークリフトの軌道のように、現場が徹底的に整地されていなくてもできるし、車両系建設機械にはできない荷物の繊細な取り扱いも可能である。
床上式クレーンも吊り上げて移動するという意味では同じだが、車両に付属して、場所を選ばず、あらゆる業種と現場で大活躍するのは移動式クレーンの方である。
移動式クレーン運転免許もあるのだが、それは大きな鉄筋やコンテナを吊り上げる人の資格であるので、まずは技能講習まで取得して、実地を重ねて修行するとよいだろう。
後に免許を取るにしても、一部免除などの優位性はある。
最近はコンピュータ制御が主流になってきてはいるものの、やはり人力で操作して柔軟に現場対応するケースはなくならないので、移動式クレーンのオペレータで腕前の良い人は重宝されるだろうと思う。
1位 玉掛け技能講習
玉掛はクレーンとセットであるが、玉掛の方が大事である。
クレーンは失敗したくないので、大抵は腕前のいいオペレータが付きっきりになる。
一方で、そのオペレータや現場監督者の指示に従って積荷にワイヤーをかけ、しっかりと玉掛する役割は、その他の多くの人が担うことになると思う。
玉掛の技能講習では、ワイヤーの特性、基本的な物理学に基づいた正統な作業手順と作業方法を学ぶことができる。
また、荷ブレ、ワイヤー等による指の挟みこみ、積荷の崩壊による事故を防ぐために、必要なエッセンスを全て学ぶことができる。
おっさんの習ったところだけかもしれないが、玉掛技能講習ではヘルメットの着用や、作業着の指定(半袖NGといったこと)、チームでのワークショップ的な研修など、現場の基本を教えてもらえる講習にも思う。
現場作業者の入口としてこれほど重要な技能講習は他にないだろう。
クレーンのオペレータになる前準備としてだけでなく、全ての技能講習に先駆けて取得しておきたい。
<技能講習について私見>
労働安全衛生は全ての労働者にとって誠に重要な守るべきものである。
命にかかわることであるので、きちんとした技能はもちろんだが、正しい知識と意識付けによる安全作業が重要になる。
また、命のかかわる状況で先輩も後輩も上役もない。命を守り、事故を起こさないことが最優先される。
ところが、人間というものは案外色々な感情に流されやすいもので、
現場においても間違った判断をしてしまう事がしばしばある。
そしてその度に事故が発生し、新しい法律と技能講習が増え続けているというのが現状である。
即ち労働安全衛生法は血文字で書かれているのである。
故に、1つ1つの講習の重さは、事務処理研修やマナー研修の比ではないとおっさんは思う。
関わる作業に応じて事前に取得するのは当然としても、それ以外の講習も、例えば1年に一度ぐらい定期的に受講し、最新の知識とスキル、安全意識を高めた方がいいようにおっさんは思う。
また、血文字で書かれている性質上、法律の改定も著しいので、現時点でどれが正解であるかも分からなくなることが多い。
加えて同法律について素人の理解は浅く、例えば電気工事士ならば電気の技能講習は必要ないよねなどと思い込んでいる人も未だに多く、守るべきルールや安全が周知徹底されていない現状も見て取れる。
こうした記事に興味を持ってる読んでくださる方ならば、ちゃんとした意識の高い労働者・管理者に思う。
お金もかかるし、会社でも予算取って誰かに取らせようとしたらそれなりに大変だけれども、どうか今回のランキングを参考に、現場の安全向上に取り組んでいただければと(おっさんごとき、今はすっかり内勤者代表が言うのもアレだが)、切に願うところである。