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彷徨うおっさん55 分断する男女(5/7) 結婚=幸せ を崩壊させた恋愛至上主義時代 そして若い世代は潔癖になっていく

 前回までは、2020年代における、所謂婚活市場の女余りぶりや、その背景について述べた。今回は、その続きとして、古い世代の女性の今では信じられないような思考回路を紹介し、その害悪について述べる。

 また、今現在青年にあたる世代について、恋愛至上主義時代における恋愛観の先鋭化の影響と、恋愛も含めて人間関係の捉え方が潔癖化している有り様について、おっさんが見た極端なその様を述べる。

<結婚=幸せ とは単純にいかなくなった それは古い世代の女性による価値観のせいかもしれない>


 独身を選んだ(選ばざるをえなかった)人について、おっさんの世代(氷河期世代)に限って言えば、直近10年から20年程度で、本人がより自立しているか、結婚以外に人生の価値を見出せるかどうかで、立場が入れ替わったように思う。

 つまり、多くの元々独立独歩を余儀なくされている立場の男達や、自立した独身女性達は、独自路線で幸福に向かっている。逆に「結婚=幸せ」という前提を信じ切って、守ってもらう前提で生きてきた女性や先鋭化された恋愛観を飛ばしすぎてきた女性は、歳を重ねるごとに嫌われて孤立化し、どんどん不幸になっているように思う。

 おっさんの知る女性で、自身は離婚して借金数百万、娘も奨学金たっぷりという人がいて、60手前ででありながら
「やっぱりもう一度結婚したほうが良かったかしら」
 などと言っている人がいた。

 昔だってこんな状況での成婚は難しいだろう。ましておっさんより若い世代ではこのような価値観は、当の女性すら否応もなく持ちようがないように思う。

 ところが、就職氷河期という間の世代には、ここまで極端ではないにせよ、「結婚=幸せ」という昔の価値観を、未だに引きずり続けている亡霊のような婚活女性がいる。就職がキツイ分、特に女性であれば、結婚に夢を見ていたのかもしれない。

 ここ10年20年で精神的に熟成した人は男女いずれにせよ、執着をある程度抑え込み、それなりの人生を弁えるに至っている。しかし古い価値観を持つ一部の女性は、妙な理論や権利を主張して男性を困らせたり、若い世代(例で言うと自分の娘)の人生に、価値観の押し付けという形で影を落とすような事をする。
 そして、それを見た男性は女性に嫌悪すら抱いてしまい、男女の分断を無自覚に広げているようにすら思う。

<潔癖化した現在の青年世代>


 主に恋愛面からの切り口で語ってきたが、かくもこうした時代の移り変わりを経て、氷河期以前の旧世代男女は、かなり分断してしまったようにおっさんは思う。
 そして若い世代でもまた、旧世代の残した先鋭化された価値観縛られているようには思う。それはまるで濁水の上澄みを抽出し続けたがごとく。。。

 清潔感やファッションなど態度の先鋭化から始まり、地位や年収といった能力主義的選抜、美醜の基準自体もまたとんでもなく先鋭化していて、例えば髭脱毛や男性用化粧品などはかなり市民権を獲得している。
 だがそうした洗練をへて、もはや恋愛行為そのものが減少してしまったように、おっさんは思う。

 数十年に渡る一連の流れによって、現在の男女間には、コンプライアンスやら、理想やら、経済やら、気遣いやら、共感やら、責任やら、リスクやら。。。
 高く厚い壁がそびえ立ってしまい、その壁の存在が、今度は若い世代の態度を潔癖化し、今後の男女交際の先細りの時代を思わせるところがある。


 再び人間関係を濁り水に例えると、

 人と人との関係、即ち社会は、もっと清濁入り混じったものであるのが普通ではないだろうかと思う。男女の関係だって同様だ。


 ところが現代人は、いい得て妙だがここ数十年の恋愛観の歴史の積み重ねで、上澄みの上澄みのそのまた上澄みの透き通った部分の自我を使って他者と交流することを「正常」と認識するに至っている。

 初回で述べたトレンディドラマ「101回目のプロポーズ」のようなストーカー染みた恋愛にまで戻れとは言わないが、もっと泥臭くて良いだろうに。

 条件ばかり見て付き合う相手を選び、やれ清潔感だ、やれ態度だ、やれポジティブシンキングだといつも美しく機嫌よく振舞うように相手に無意識に強要する。
 付き合ったら高い理想をぶつけて愛情を試し続け、気にくわないことがあると共感論やら男女論やらなんでも使って理想に近づけようとする。

 そうした濁りを許さないところがあるのだが、恋愛なんぞ元来、もっと泥臭くてみっともない、情の通った関係で構わないのではないだろうか?

 服装が野暮ったい、清潔感どころか衛生的にも不潔、多少気が利かなかったり話が通じなくても肩をすくめて終わり。それでも概ねお互いに敬意を持っており、満足して夫婦関係だったという人もたくさんいたのだ。
 例えば昔の映画ではお父さんが大きなオナラをしたところで、お母さんは「やあねえ、やめて頂戴」ぐらいで終わっていたが、おっさんの経験にもあったように、関係が消滅する可能性は全然ある時代になった。

 男の兄弟がいればそれぐらい当たり前に思うものだとおっさんは思っていたが、最近の女性は、兄弟関係に関わらず、恋人や夫に求める水準があまりにも高くなっている(透き通っていすぎる)ように思う。

次回に続く

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